勘を鋭く
お昼を済ましてボーッとしながら時間が過ぎていくのに任せる、弱まったとは言えまだまだ降り続ける雨は止む気配を欠片も見せてはくれない。
木々に切り取られた空は灰色の雲に覆われて動いているようには見えずこのまま降り続ける感じしかしないな。
鬱々としてくるがどうしようもないからな、ひたすら今日という日が浪費されていくのを見守るしかない、後は無の境地で悟りの扉をほんの少し揺らすかだがそんな気分ではないしな、爪とか切りながらのんびりと明日を待つしかない。
夕方になっても雨は止まないがシトシトと呼べるくらいには弱まっているし雲も気持ち薄れた感じもする、とは言え漁は無理だろうな。
全身の筋肉痛も多少はマシになったがまだ痛むな、明日の朝には消えるか無視できるレベルになるだろうが数日後にはまただろう、その繰り返しを何度続けたのか考えたくもないがそれなりに慣れた。
そう言えば半年もサバイバル続けていると感覚とか研ぎ澄まされて明日の天気とか解るようになったりしないのかね、まぁ無理か、それに特化するように過ごすなら兎も角として色々と忙しいし。
夕飯を終える頃になってようやく雨は止んだが雲は晴れていないし少しずつ暗さが増している、残念ながら漁は無理だし仮に1時間早く止んだとしてもやるつもりはない、疲労がピークというのもあるがまだ降りだしそうな空を見ていると外に出ようって気にはなれない。傘でも有るなら、ちょっとコンビニにでも行くなら気合いを入れただろうがどちらも無いからな、全てを諦めて何を考えるでもなく眠気が来るのを待つのが精一杯だ。
やや痛みはあるが無視できるし疲労もある程度は消えている、やはり1日休むだけでも違うな、容易く軽々ととはいかないがノロノロとではない。
何時ものようにストレッチを済まして漁に向かう、天気も良いし今日は問題なく作業可能だろう。
カサゴばかりだな、それにハモか、忘れた頃に現れるなこの面倒な魚は、いったいぜんたい何を思って現れているのか解らないが美味しいけど面倒な相手に辟易としてしまう。
さて昨日の続きだが片方が作業をしている間はもう片方が暇になる、昨日と違って作業とか調整とか無いからな、体を休めるか鳴子でも作って警戒網の補修と強化でもするかだな、しかし警戒網のチェックは少し、いや少しではないか、かなり前だが済んだしな、この辺りで出来るとなると魚の干場作りか、こちらは一人じゃ無理だろうが柱を埋めるための穴堀りなら、いやそれより建てる場所捜しからだな。
風通りが良くて開けた場所となると旧拠点か本拠地の端か池の近くかそれとも薪干場に併設か、或いは海沿いでポイント探しか、楽なのは旧拠点か本拠地だが無難に旧拠点だろうな、此処だとスペース的な余裕がそろそろ厳しいし。




