一斗缶2
お弁当の準備も済んだところで出発しよう、幸いにして雨が降る気配は無いから作業時間はたっぷり取れる筈だ。
とりあえず漂着物を確認してからルート開拓だが場合によっては少々と言わずに面倒な事になるな、具体的には流れ着いた物が複雑に絡み合う中で必要な物が奥底に眠っているパターンだがその場合だと物凄く時間を必要とするだろう。
まぁ皮算用だし最悪の最悪となるとコレはと言うものを見付けて頑張って漂着物を掻き分けて手にしたら思った物と違うという完全な徒労パターンだからな、少し手間が必要で疲れるくらいなら軽い。
森を抜けて波打ち際からやや離れた位置でコンモリと山になっているゴミにうんざりしてしまう。
ロープにブイに流木にペットボトル、タイヤに浮き輪に布にとカオスだな。
とりあえず回りをグルリと一周しながら一瞥して表層を確認しつつ隙間から中を確認する、見える範囲には何も無しか、手掛かり無しに山を切り崩していくしかないらしい。
竹やら流木やらロープやらを引摺り出して少しずつ崩していく、ガラクタばかりでゲンナリするが少しずつ片付けていく。
1時間程度頑張ってなんとか小さな一斗缶のような物を発見した、なんだろうなコレ、形は一斗缶だがサイズは半分くらいか、考えられるのは昆布とか煎餅とか入れる容器だが使えるなら何でも良い、むしろペンキとか劇薬とかの気配が残ってないだけマシだろう。
そんなのが入っていた気配が欠片でもあれば飲食用には使えないからな、例え魚を生かすための生け簀としてや調理器具を容れておくための物としても使えない、と言うかペンキとか入っていた一斗缶とか何を容れれば良いんだよ。
一斗缶片手に焚き火ポイントまで向かいとりあえず飯だ、ただ風がまだ強いから森からやや離れた場所に簡易竈を組み直した方が良いな、台風が過ぎてからそれほど経った訳でもないから火の粉が飛んだところで燃え移るとも思えないが安全に最大限配慮した方が無難だろう、山火事とかになったら鎮火は不可能だしな、まぁ初期消化が上手くいけばなんとかなるかもだが。
炙った焼き干しで腹をある程度満たして少しばかり食休みだ、相変わらず風が強いけど空は快晴、雨の気配もないし一斗缶も手に入った、このまま作業を続ければルートの開拓も今日で終わる、トントン拍子に進んでいるが燻製にはまだ足りない物も多い、疲れも有るし明日辺り休暇も兼ねて温泉で体を癒すのも良いかもな。
胃も落ちついたところで作業開始だ、まぁゴールはほぼ見えているから気合いを入れたところでだがダラダラ作業に取り掛かるよりは良いだろう。




