磯ルート開拓
さて帰還して間はないし忙しい事この上ないが早く食事にしよう、朝からの狩りに加えてルートの選定で多少時間を使っている、昨日の夕食から半日以上は食べていないし腹ペコだ。
それでもすぐさまとは行かないのがこの生活で、火を起こし、魚の内臓を処理して串うちし、焼き上がるのを待つ、軽く20分は掛かる一仕事となる。
空腹は最大の調味料なんて言うし、久々に満腹になれそうな上に恒常的な満腹も可能な漁場を見付けた歓喜も有る、多少の待ち時間は食欲増進のスパイスでしかない。
小魚とは言え10匹ともなれば満腹も満腹、大満足の食事となる、惜しむらくはご飯や野菜が皆無な点でこれだけは改善策がない、考えないようにしてきたが新たな漁場に見た希望と久々の満腹に欲が出たな、しばらくは苦しめられる毒にしかならないと言うのに、思考と言う名の猛獣を御するのはやはり難しい、だがまぁそれも含めて良しとしよう。
さて昼飯も終えて少し腹を落ち着かせたらルート開拓と薪の確保だな、昨日作った分はもうほとんど残ってないし、今晩の焚き火には足りない。
ルートを通るのに邪魔な木の枝を切り落とし、下草を刈り、細い木なら斬り倒す、ある程度進んだら切り落とされた薪を拾い集めながら拠点に戻り一ヶ所に積み上げてまたルートに戻る。
何度も往復するうちに、徐々に鬱蒼とした森に人間が通るには十分な広さの道ができ、薪が積まれていく、生木なのですぐには使い辛いがそれでも今後を考えればかなりの財産になってくれる筈だ。
夕方より少し前の時点で全体の三分の一程度、流石に本格的にやりすぎたな、明日はとりあえず通れる進める程度に抑えておこう、今月中は持つ程度の薪は溜まったしな、有れば有るだけ良いがどうせ仮拠点で本拠地を決めた時には改めて運びだすか放置して干すか、いずれにしても将来的な荷物でもあるのだ、余裕は欲しいが極端にはいらない。
さて、早々に狩りといこう、今日も磯で夕食が待っている。
水を掻き出す事1時間、潮溜まりを回らなくて良い点は評価できるが、規模が大きくなって掻き出す水の量が段違いなのはどうかと思う、それでも獲る物は大きく、大漁旗の一つでも掲げたくなる。
残念ながら旗になりそうなのはボロ布かズボンとシャツくらいなので大漁旗と言うよりは洗濯中の光景にしかならない。
とまれ、今日の夕飯もお魚満載、満腹満足の豪華ディナーだ、心地好い疲労として受け入れるとするか。




