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逆境を楽しむ

 漁を済ませて拠点に戻る、今日はハゼと鯵が大量だ、鯵はナメロウで食べたいところだが味噌が無いんだよな、後アニサキスが面倒だ、鶴子が根性で生きたまま鯵を大量に持ち込んだ時などは先輩と共にひたすら捌いてチェックして作ったが旨かったな、シソにミョウガ、ネギと生姜と味噌、米にも酒にも合う最高の出来だったと今でも思う。

 今回は刺身で我慢するかね、時期的に脂も乗ってきて十分に美味しいだろうし鍋の中で元気に泳ぐ今ならアニサキスも内臓の中で大人しくだ、確認はするが最小限で済むだろう。


 手早く腹を裂いて内臓を抉り出す、そのまま頭を落として素早く三枚に下ろし腹の内側を確認してアニサキスが居ないと判断すると皮を剥いで切り分ける、もう何百何千とやって来た動きだから今さら戸惑ったりしない、刺身やナメロウで食べるのは滅多にないがアジフライに塩焼き、鶴子は梅酒煮がお気に入りだったな、先輩はツミレ汁、俺は塩焼き、昇は確かアジフライで望が煮付け、俺の部屋でワイワイ騒いでいたあの頃が懐かしい。

 と言うか今さらだが何故に俺の家、あぁ部屋とキッチンの広さと位置がちょうど良かったのとバカ共の部屋は基本的に片付いてなかったからか、俺の部屋もそれなりに散らかっては居たが呑み終わってそのまま雑魚寝とかできる程度には整理整頓されていた、少なくとも座る前に片付けが必要だったバカ共の部屋よりは綺麗だと言える。


 手早く調理を終えて夕食が完成する、ハゼの塩焼きに鯵の刺身と煮付け、墨巣さんがボウズだからこんな物だろう、まぁ量的には腹六分目くらいにはなるから十分だな。



 若干ながら腕にダメージが来ているな、まぁ仕方がないと言えば仕方がないのだが壁の高さを改めて突き付けられる様でテンションが下がってしまうな。

 何時もの様に朝の準備と漁を済まして昨日の続きからだ、今日の予定は最後の一段の穴堀りを済ませて可能なら杭打ちまでは進めたい、まぁ最悪穴堀りで終わっても明日に回せば良いし遅くとも明日の昼飯前には穴堀りとはオサラバだ。


 竹を組んで埋め戻す、後は踏み固めて次へだ、調整は全てが終わってからでも良いし幸いにして時間だけは売る程に有る。

 少しずつ掘り進めてまた根との戦いか、現れてからが大変なんだよな、とにかく杭が入っていかなくなるし固いし入ったところで簡単には掘れない。

交代交代で杭を打ち込んで打ち込んで、少し掘ってはまた休んで遅々として進まない中で、それでも少しずつ広く深くなっていく。


 昼まで掛けて半分に届かないか、太い根が多くて予想以上に作業が進まないが想定内だ、むしろ最後の最後までラスボスらしさが有って闘志も存分に湧いてきて折れた筈の心も元より強くしなやかな姿で復活している。良いね、この逆境と最悪の状況、最高の気分だ。

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