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大漁

 潮溜まり水抜き漁、正確な呼び名が有るのかすら解らない漁法だが、この地形ならかなり捗るだろう、何せ見渡す限りとは言わないがかなり広い潮溜まりだ、水抜きに2時間は掛かるかと言うレベルの広さを持つ。

 流石にそれだけ時間を掛ければ潮が満ちるだろうから半分も抜ければ十分だろう、広いとは言え半分にもなればかなり範囲は狭まり魚は捕れる筈だ。


 水を汲み出し汲み出し、正確な数値は解らないが軽く50リットル以上は掻き出して見る見ると水面は下がり、薄盆の中央だけ凹むというシルクハットを逆さにしたような形状の潮溜まりの中央部分を残すのみとなった。

流石にシルクハットのように直角ではないし丸くはないが深さ約12センチ幅は広い所で50センチくらいだろうか、その小さな潮溜まりに魚がウヨウヨと泳いでいる。


 全ての魚が食べられる訳ではないだろうが、仮に一割だけでも大漁も大漁だ、それこそ過去に類を見ないレベルでの数が揃う。

 鍋で水と共に魚を汲み出し、岩場に流して食べられそうな魚だけをもう一つの鍋に取り分けて残った河豚なんかは下段の潮溜まりに蹴り入れる、後はこの作業を続ければかなりの数が確保できる、時間はあまりないが二回くらいは可能な筈だ。


 鍋いっぱいの小魚、絞めるだけでも一仕事なソレから半分を海に帰す、調子に乗って取りまくったが食いきれないし夜まで置いておくにも冷蔵庫もないし、干すにしても場所がないのだ、余るくらいの量は無駄にしかならない。

 拠点に戻りいつもなら漂着物を拾いに行くところだが今日は磯へ続くルート探しだな、とりあえず距離と方角からだいたいの見当を付けて森の中を進む。


 とりあえず下り道になるのは確定だし、気を付けるべきは崖だろう、滑落でもすれば良くて打ち身悪くすると死が待っている、後は距離がそこそこ有るから磯までの直線ルートと言うよりは仮として丘の下、竹林手前まで通じれば良いくらいの気持ちだな。

 太い木の根や岩、神社にでも在れば奉られたであろう大木等を避けて森を突き進む、安全に登り下り可能な坂を選びながら少しずつ距離を稼ぎ、安全圏を広げていく。


 ようやく森を抜けて位置を確認する、だいたいになるが丘を下りきって少し、竹林の入口までやや距離のある位置に出た、さて昼ごはんの時間も差し迫っている事だし作業を始めよう。

 木にロープを結んで来た道を記憶を頼りに辿りつつ、時たま木の枝にロープを結びマーキングをしてはまた歩く、帰りはスイスイとは行かないが大まかな位置関係を覚えていたし、踏み固めた下草や特徴的な大木等の記憶で行きよりは早く仮拠点に帰還した。

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