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神々しく

 そのまま森の奥に立ち去っていく姿はどこか神秘的と言うか、神や仏の御遣いになるのも頷けるってくらいに優美で神々しい光景だった。

 これがスマイリーなら雄大ではあっても神秘的からは遠い、彼の場合は自身が王者って雰囲気だから何かに遣うって感じがしないというのもあるのだろうが。

 少なくとも筆の代わりに絵の具を纏ったミミズが書いたような絵よりは理解できる、まぁ写実的な絵はそれなら写真でも良いじゃないかなんて意見もあるが写真と違って絵なら嘘を描けてしまう、例えば森を描く時にそこには無かった花を一輪描き足すのも居なかったリスを描き足すのも自由だ、まぁその場合は写実的と言うより写真のように正格に描いたフィクションという事になるのだろうが。

まぁ絵の素晴らしさなんてその時その場その人で変わるからな、それこそ画家が死んでから人気がなんてのは枚挙にだ、俺の思う誰でも上手いなってのが解る絵が評価される時代もあれば子供の落書きよりグチャグチャにしか見えない絵が評価される時代もある、残念ながら俺にはそのどちらも正しく理解できないし評価もできないがあの光景の美しさは理解できた、まぁ墨巣さんに言わせれば変なんだろうが。


 磯での漁を済まして拠点に戻る、明日からはまた穴堀りだが終わりが遠いね全く、残りはほんの三段か四段、多くても五段だというのに何日掛かるのか考えたくもない。

 さて食事の時間を嘆きと悩みでというのはゴメンだし切り替えていこう、今日は米も炊いて明日の作業への糧としようかね。



 なんと言うか休暇明けで躓いたからか気分としては上がってこないが新しい朝だ、昨日の残念さは昨日に置いてきたと思って今日を過ごすとしよう。

 何時ものようにストレッチやら準備やら確認やらを済ませて磯に向かう、まぁ準備や確認は昨日の時点で終わっているのだが再度チェックしないと思わぬ忘れ物とか出てきそうだしな、今のところ忘れ物は無いがウッカリミスは注意していようとも起こるものだ。

直近なら忌避材なんかはその最たるだろう、人間は失敗する生き物だしなかなか過去から学ばないが幸いにして準備や確認である程度芽を摘む程度の事は誰にでもできるからな、失敗しても最小限で抑える努力は必要だろう。


 綿密な計画、入念な準備、しつこい確認、慎重に行動、速やかな諦めが登山の基本理念で日常にも通じるとは昇の親父さんだったかお祖父さんだったか、登山ではないし日常からもかけ離れてはいるが鉄則として使えはするな。

 ただまぁ昇によるとこの五つには裏の意味が有るらしく綿密に計画したんだから登る、練習含めて準備したんだから登る、しつこく確認したんだから忘れ物しても自己責任で登る、慎重にルートを選びながら登る、天候とか怪我以外では諦めずに根性で登るという謎理論らしい、ただ必ず下山の計画や備えをしながらというのも鉄則らしく諦めるにしても下山して家に帰るまでが計画の中に含まれる、山尾家にとっての登山は家を出てから帰るまでらしい。

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