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ワビサビ

 なんとか無事に合流はできたか、生きてて良かった、そして近付いてくる足音恐かった、何時だったか墨巣さんが鳴子の音を怖がったのを思い出してしまう。

 しかし一気に気疲れが伸しかかってきて物凄く体力を消耗してしまった感がある、あんな状況でなんとも思わないのは相当に神経が太いか、それともかなりのドMかのどちらかだな、俺はそのどちらでもないらしく緊張と恐怖で嫌な汗までかいている。

これで足元を狸でも通り過ぎていたなら発狂するか気絶するかその両方か、間違いなく今までと同じにとはいかなかっただろうな。


 さて、終わった事をグジグジと嘆いていても始まらないし切り替えていこう、と言うか忘れてしまいたい、だがしかしソノ先輩対策として覚えておきたいという面もある、二律背反だな。

 まぁあの人に合わせるなら口も塞がないとダメだが静かにはなっても大喜びってところかね、問題は事が済んだ後に五月蝿くなるだろうって点だがさてどうしたものか。


 のんびりと森を歩いていくがスマイリーと三度鉢合せなんて事にはならないだろうな、そうなってくるとご近所さんにしても不思議な運命を感じてしまうぞ。

 まぁゴリラとの間に生じる運命がなんなのかは不明だが、これが人間相手なら友情か愛情かそれとも憎悪か、もしくはストーカーってのも有るか、俺たちが彼をストーキングする事は無いし彼が俺たちをストーキングする事も無いだろう、基本的に出会って1分で満足ってのが彼の様式美だし。

森を抜けて橋を渡り拠点まで戻ってきたがやはり遠いな、まぁそれは仕方がないし嘆こうが喚こうが叫ぼうが何をどうやったって変わりっこない。


 夕方までのんびりと過ごして気疲れを抜いていく、全身の力を抜いて頭を空っぽにしてただ時の過ぎるままを見るでもなく見て感じるでもなく感じる、風が肌を撫でていきサラサラとザワザワと森の木々の声に耳を傾けていると落ち葉の一枚が地面に触れる瞬間すら手に取れるようで本来なら聞こえない筈の、木立の遥か先の川のせせらぎすら聞こえてくるようだ。

 あぁもう夏も終わるんだなと理解して、この状態がおそらく悟りの一歩目なんだろうなと勝手に思い込む、在るものをあるがままに受け止めるというのはそれはそれで一つの悟りだろうと。

ただ悟りと言っても詫び錆び的な観点から見た物になる、情緒的と言うか年寄臭いと言うか、非想非非想の末に待つ悟りの境地には程遠いな。


 さて、米も炊いて美味しく頂くとして、本日の夕飯は久々にウツボだ、俺にとっては魚の中で指折りに好きな魚なんだが最近は嬉しくもない、と言うか元の生活に戻ったとして2ヶ月か3ヶ月か魚を忌避するだろうなってくらいに食べている、おそらくだがこの生活が終わりを迎えて本土に上陸したなら家に着く前に牛丼屋かラーメン屋に駆け込んで大盛りを平らげるだろうな、金は持ってないから迎えの人に頼み込んで借りるしかないが仮に地元までヘリで一っ飛びとかじゃ無い限りはそうするだろう、もしかしたらファストフードやコンビニでも目に入ったら駆け込むかもしれない。

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