逞しく
夕方まで掛けてまた一段を登るが体へのダメージは深刻だ、腕はもはや鉄の棒の如くで気力を振り絞ってみたところで指先を動かすのも億劫なくらいだ。
それでも今から漁と調理か、とりあえず冷却とマッサージは確定として明日休んだところで回復できそうにないな、と言うか3日休んだくらいで回復できそうにないってくらいダメージを感じてしまう。
流石に3日も休めば問題なく回復するだろうしスタミナも気力も有り余るだろうが疲労のレベルが洒落にならない。
重い腕を無理矢理動かして漁を済まし、限界を幾つか越えて調理も済ます。
ブチッて腕の筋肉が全て引きちぎれなかったのが不思議なくらいだが人間の体はそれだけ頑丈って事なんだろうな、まぁ細かな断裂はしているだろうから回復さえ済めばもっと強い筋肉に生まれ変わる、別に鍛えている訳ではないから嬉しくもなんともないが島にきた頃より体中の筋肉が太く逞しくなっているのは確かだ、単純に脂肪が消えて浮き出ただけかもしれないが。
しっかりと冷やして疲労困憊の中で駆使してマッサージもしたのだが筋肉痛で腕が上げられない、と言うか動かない。
まぁそれが無くてもスタミナ的に動けそうにないのだが、全身への倦怠感がかなり深刻で気力でどうにかなる段階を一足飛びに越えている。
流石にコレでは動けない、あまりと言うか、相当に、かなりヨロシクないが朝の漁はお休みだな、昼まで休めばマシにはなるだろうがその頃には漁なんてできないし焼き干しを消費してお茶を濁すとしよう。
墨巣さんは全く問題なく動けているのがアスリートと凡人の差って奴を突き付けてくるな、体力には自信が有ったのだがそんな自信は砂上楼閣の如く崩れ去ってしまう、そこそこ鍛えていた程度の俺では本物には遠く及ばない。
残念ながら努力でどうにかなるような差ではない、と言うか俺と同じ時間努力をしたところで墨巣さんの方が効果が高いだろう。
まぁ墨巣さんの努力に付き合ったところで、いや間違いなく途中で付いていけなくなるか、大前提として鍛え方が全く違うし基礎からして違う。
昼まで休んである程度は回復したと思うがまだ体が重い、まるで風邪でぶっ倒れた時のようで気分もテンションも最悪だが腹は減るしな、サクサク調理を済ませて夕方まで体力の回復に意識を向けるとしよう。
しかしアレかね、長期休暇と決めたからコレまでの疲れがドッと押し寄せたとかそんな感じかね、だとしたらそんな気の使い方はいらないと自分の体に言いたくなる、或いは昨日は限界を幾つか越えたからなのか、どちらにしても今日という日が最悪な事に変わりはない。




