愚の骨張
腕がやや重いがまだ大丈夫だ、オーバーワークにはほど遠く動けないというほどでもない、問題なくとは言わないが動くなら作業を続ける事は十分に可能だ。
腕が上げられないくらいに痛むなら諦める事もできるが動くからな、残念ながらと言いたくなるが休暇の前の追い込みと捉えてもう1日頑張っていこう。
とまれ、何時もと同じく漁からだ、1日の始まりを常のように進めていく。
今日はそろそろ焼き干しの交換をしたいからお昼ご飯は微妙な物になってしまうが仕方がない、遠出をしていた頃は毎日交換で必要も無かったが最近は拠点に居る事が多いからな、そろそろ一新しておきたい。
とは言え微妙に交換はしているから量的に七割程度を交換で大丈夫だろうから明日の朝飯までって感じかね、せっかくの休暇が朝から焼き干しに染まるが気にしていられない、その程度の事に文句を言っていたらサバイバルなんて不可能だからな。
ハゼとオコゼか、さらに黒鯛、十分だな、オコゼと黒鯛は焼き干しにできそうにないからハゼだけだがまぁ大丈夫だろう。
さて、昨日の続きからだが改めて登ってきたものだな、上から見るとソレを感じるがゴールまでまだ少しだけ有る上にその少しが洒落にならないくらいの難所、終わりはまだまだ先だが僅かな達成感は既に有る。
まぁ完成してない時分から達成感は無いと思うのだが過程が見えているとどうしても『ここまで来たのか』と感傷的になってしまう、満足して止まるなら未だしもそうでないのなら構わない。終わりが見えたのに手を休めるなら良しだが完全に止めるなんて馬鹿らしい、結果が全てとは言わないがそれでは経過も無視して台無しだろう。
やりきる事が全てではないし途中で諦めたり逃げたりするのは悪い事ではないと思うのだが今回の場合は無駄にはならないと言うか完成したところで無駄でしかないような代物にしても掛けてきた時間を考えると愚の骨頂ではある。
と言うか有る意味で暇つぶしって面が有るからな、無駄な作業でも余暇よりマシ、退屈の日々を過ごすのに比べれば忙しさはむしろ味方だ。
昼まで頑張って一段と少しか、昨日の続きからだから全く喜ばない、このペースだと夕方まで頑張ってもう一段ってところだろう。
お昼に焼き干しを食べてまた穴堀りだ、もはや腕が抗議と悲鳴で騒がしいが鼓舞して振り上げ杭を打ち込む。
ひたすら振り上げて打ち込み限界が訪れれば墨巣さんと交代してしばらく休めながら周囲の掃除や下の段を何度も行き来して踏み固めていく、何度も往復していれば勝手に形になると言うか、落ち着くところに落ち着いて調整の必要もなくなるだろうって判断で何度となくだが往復していると改めて進んだ物だと体感できる。




