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慣習

 夕方まで掛けてようやく半分が見えてきたな、いやまぁ始めから終わりまでずっと見えてはいるのだが、とりあえず四割は余裕で越えたし明日には半分を越えるだろう。

 いっその事水でもかけて柔らかい泥にまみれた方がとも思うのだが間違いなくそれはそれで作業が難航すると言うか穴を掘るより杭を打ち込むより早く流れた泥でどうにもならなくなるだろうな。

それこそ土留めをしながらという訳の解らない作業になってしまうだろう、やはりこのまま彫刻家の真似事で地面に杭を打ち付けるしかないな。


 一度拠点に戻って装備を入れ換えてから磯に向かう、別に作業中ずっと荷物を背負っている訳でもないし距離的に物凄く離れている訳でもないからリュックの中に入れたままでも良いとは思うのだが多少は重いしこっちの方が解りやすくていい、他の作業からでも意識を切り替えやすいし一度拠点に戻る事で変わりがないか確認もできる。

 慣習と言うかルーティーンと言うか、一つの形態として漁の前には一度拠点にというのが決まっている。例外は夕方に竹を取りにいく場合なんかだろうがそれに関しても竹を運ぶ必要があるから旧拠点辺りまでは戻る必要がある。

まぁ効率考えるとそんな面倒はしないと思うのだが何かしらのトラブルは付き物だしな、単純にミスも起こるし有り得ないと断言はできない。


 さて、本日の漁果は穴子とゴンスイか、まだまだ竹筒祭りは続いているらしくありがたい限りだ、希に捕れない事もあるが全く捕れなかった頃に比べれば雲泥の差だしな。

 墨巣さんの方はスズキか、やや小ぶりだとは思うが十分だな、サイズ的にセイゴ、いやフッコかね、微妙な線だな。

定規でもあれば測って確定なんだが問題となるのはどこから名前が変わるのか正確な数字を覚えていないって事だな、20か30センチ辺りが境い目だったと思うのだが鶴子辺りに会った時に覚えていたなら聞いてみるかね。


 拠点に戻ってまずは魚を捌いていく、穴子は目打ちしてから背開きで、ゴンスイは棘を切り落として内臓を処理、フッコを三枚に、そのまま穴子を蒸しゴンスイを串焼きにフッコは焼け石で火を通して夕飯が完成だな。

 さて、食事も済んだがいよいよ灰を処理しきれなくなってきたな、拠点周りに撒くのにも限界が近く流石に灰まみれの地面というのもマズイし、もはや猶予はないな。

明日にでも適当な場所に穴堀だが位置を考えると拠点の北東が無難か、とりあえずお昼まで掘り進めば一月か二月か持つくらいの穴は掘れるだろう、1日掛けるなら年明けまで余裕の穴になるだろうがそこまでは必要ないと言うか、新たに掘れば良いだけだしな。

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