残念
夕方までしっかり体を休めて漁に向かう、のんびり森を突き抜けて何時もと同じく作業を進めて小魚とタコが二匹か、蛸飯を炊いて焼魚、それに墨巣さんの突いた黒鯛を刺身にってところかね。
テキパキと調理を進めて夕飯を完成させる、竈で炊くご飯にも慣れて焦げまで完璧な炊き上がりにようやく満足する、何度となく炊いてはいるがコンスタントにこの炊き上がりが見れるようになるまで何度も失敗している、まぁ失敗と言うか焦げが無かったり逆に黄金色を超えた色合いだったりの差でしか無いのだが。
そういえばそろそろ串が底を突きそうだな、今まで竹を切った時に出る枝を利用していたが毎日毎日使うから消費が間に合っていない、まぁ余っている竹を割れば少しは足しになるだろうし竹林に行けば様々なサイズが積まれている、用意自体はそれほど難しく無いし、面倒でもない。
夕飯を済まして後片付けとして食器の類いを洗っていく、と言うか食器も食器でかなり古くなってきているし新しくしないとだな、明日にでも竹を運びこんで全て交換してしまうとしようか、午前休として捉えれば疲れも完全にではないがかなり抜けるだろうし。
日が沈んでそこそこ経つが月の灯りは特に無く、やはり新月付近だったらしい、おそらくだが当日か前後1日ってところかね。
それにしてもこの満天の星は何度見ても飽きないが残念ながら一部雲が出ていて満天というには三割程足りていない、それでも星は見える訳だがやはり物足りないな。
今までも雲が出ているタイミングは有ったが今回は胆となる天の川を蓋するように出ていて『邪魔すんなよ』って感じだ、もちろん天の川だけが凄いというわけでは無いが一番の花と言うか、見どころの部分だろう。
それこそ推理小説なら探偵が犯人を指し示す場面、恋愛小説なら告白の場面、冒険物なら悪役を倒す場面だけページが切り取られているような物だ、他の部分がどれだけ完璧でもそこを見れないなら価値は半減以下ってぐらいに残念だな。
休暇を挟んだおかげで疲れもかなりマシだな、スタミナ切れが多くなっている現状だと焼け石に水でしかないがやらないよりはマシだろう。
少なくとも疲れと筋肉痛を抱えて作業をするよりある程度でも回復した状態で進めた方が圧倒的に効率が良い、とは言えスタミナ不足はどうにかしないとだがウナギ食ったくらいでどうにかなりそうにもないし最大の理由はおそらくと言うか間違いなく栄養の片寄りだろうな。
残念ながらそれをどうにかするのは不可能だ、缶詰めの果物を食べたくらいでは挽回できそうにないし食えるかどうか解らない野草を無理矢理食べて奇跡的に栄養にしたとしても無理だろうな、それでも一時期よりはマシだろう、魚ばかりに飽き飽きしていて米がなければ早々に詰んでいたな。




