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ジリジリ

 改めて冷静に考えると波乱万丈なんて言葉で片付かないくらい波乱に満ちた状況だよな。

 俺にしても墨巣さんにしても置かれた状況は異常を常とする非日常の毎日だ、それに慣れてきているとなると正常性バイアスとか突き抜けた何かが起こっているとしか思えない。

意識した今でさえ危険性を理解してもそれを当たり前と思ってしまう、元の生活に戻った時に苦労しそうなくらいにズレてきているな。


 テキパキと魚を捌いて夕食を済まし、杭を焼いて錆を取る、これで明日からまた作業を続ける事ができるし一気に進むだろう。

 少なくともスコップで削るよりは早く進むだろうし今日の遅れもすぐに取り戻せると思いたい。



 体がやや軋むがまだ大丈夫だ、とは言え予想に反して明日には休息を入れないと持ちそうにないな、これでまた停滞だが急いでいる訳でもないんだ焦らずいこう。

 何時ものように漁を済ませて早速作業開始だ、地面に杭を打ち込み真横にずらせばベリベリと地面が捲れ上がる、なんと言うかミルフィーユっぽいが別に層が重なっているわけではない、とは言えこれはかなり楽だな、力を入れても表面を削るのがやっとだったが一発二発叩きこむだけで一気に数センチは掘れる。

これなら多少は時間は掛かるが予定より早く作業が進むだろう。


 墨巣さんと交代しながら少しずつ掘り進んでお昼までに一段か、一気に進捗率が落ちたな、まぁ予想の範囲内ではあるし掘り進めば土の感触が代わりスコップでも掘れるようにはなると解ったから良しとしよう。

 ただ残念ながら上に行くに従い掘れなくはなるんだろうな、逆にポイントによっては表面だけ剥がせば一気に掘れる場所も有るのだろうが全体としては相当な労力が必要になるだろう。


 一度拠点に戻り昼食を済ませて作業を再開する、とりあえず途中までは掘り進んだ部分に再び杭を打ち込む、なんと言うか地面を掘っているというより彫刻か何かを掘っている感覚に近いな。

 少しずつ掘ってスコップで邪魔な土を取り除きまた掘ってを繰り返す、少しずつ深く広く掘り進めてまた一段を作り出す。

一段が終わればまた一段を築くべく穴堀を再開、ひたすら地面と格闘しながら少しずつ前に、少しずつ上に進んでいく。


 夕方まで頑張ってようやく二段と少しか、これはなかなかに骨が折れそうだし足踏みが続きそうだがジリジリとでも前には進めている、おそらく蝸牛と競争して負けるスピードだがそれでも止まってはいない、今日の朝よりは進んだし数日前から考えれば大幅な前進と言える。

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