微妙な差
とりあえず何時ものように朝の漁を済ませて小魚を焼いては干してお弁当分の確保をしつつクロダイの刺身で朝食を済ませてしまう。
とりあえず今日は午後までに漂着物の選別を済ませて午後は温泉、余った時間は選別が間に合わなかった場合の予備時間だろうか、移動や昼食を考えるとそれほど時間はないとは言え流石に見付かると信じたい。
森を抜けてとりあえず温泉に出る、考えてみるとここから漂着物ポイントまでのルートって簡単に整備した程度なんだよな、まぁそれでも獣道よりはマシなんだが本格的に、いや今のところ新たな計画はないし無駄にしかならないか。
しかも開拓したところで現状よりほんの1分くらいしか移動時間に差はないし歩きやすさも危険度も誤差の範囲内だ、距離が短いとこんな弊害も有るんだな、大抵はキロ単位か短くても日常的に使用するルートだから忘れていた。
まぁもしかしたら暇すぎて開拓するかもだが今ではない、と言うか余暇を過ごすのが苦痛になったのなら魚を干すのに良さそうなポイントに屋根無しの小屋作るとかできそうな事は幾らでもある、この短い獣道を開拓するとなったらもはや末期だな。
さて、相変わらずの雑多な山だ、まぁ見上げる程はないし山と言っても高くて膝下くらいなんだが、それでも量が量だからな、山としか言いようもない。
しかし本当に相変わらずの相変わらずだな、いったい何処から流れ着いたんだと言いたくなるくらいに雑多で無茶苦茶だ、大型トラックの物と思われるタイヤが転がっていたり、赤と白の船とかに良く有る浮き輪が有ったり、流木からお菓子の袋、ペットボトルに空き缶空き瓶。
良くもまぁこれだけの量が流れ着いたものだ、しかも此所にあるゴミを全て適切に処理したところで海を流れるゴミの中では一割どころか1分にも満たないんだろうな。
おそらくトン単位だろうから此所にある十キロそこそこなんてゼロとほぼ同じだ、まぁ流石に万トンなんて国家間の輸入くらいでしか見ないレベルでは無いだろうから一厘は越えてくるだろうと信じたい。
ゴミの片付ける中で適度な強度を持った鉄製の棒というのはなかなか現れてくれない。
錆びに錆びたワイヤーとか網の一部らしき鉄線とか釘とかネジとか、タイヤのホイールとかは有るんだがこれらを打ち込むのは無理だな、せいぜいホイールはスコップ代わりになるかもってレベルでそれもフライパンより劣る物にしかならないだろう。
ひたすらゴミを掻き分けてようやく目当ての物を引き摺りだす、若干錆びた鉄の棒、おそらく鉄筋等の建築資材らしきそれは錆びていても簡単には曲がらない強度を持っているし十分だろう。ただ流石に錆び過ぎで素手で触りたくは無いな、今のところ拾った布越しだが流石にずっとこのままは問題だ、後で焼き直すとしよう。




