磨耗チェック
雨が降っているのを見た事は何度となくあるが止む瞬間というのは20年以上生きてきて初めて見たかもしれない、なんと言うか蛇口を捻ったかのようにその瞬間に止まるんだな。
まぁ今回がそうだっただけかもしれないが、それでも珍しい物を見れたな、それに止んだというのが素晴らしい、休暇に充てるつもりだったとは言えテントの中で雨を見詰めるのはどうかと思うし。
問題は磯だな、止んだとは言え雨が降っていた訳だし、雲が空を覆っているから再び降る可能性も高い、荒れていないなら漁も可能だがさてどうなっているのかね。
準備を済まして磯に向かう、幸いにして波はやや高いが大荒れって感じではないな、ただ竹筒の引き揚げや銛漁は無理っぽいな、間違いなく引き揚げる最中に岩や壁に当たり驚いた獲物が逃げていくだろうし、銛に関しては魚影を確認するのは墨巣さんでも流石に至難の技だろうな。
ゴンスイとイワシだけだが量としては十分だな、さて残りの時間はひたすら暇つぶしだ、拠点回りの鳴子のチェックをしたり焚き火が燃え移らないように剪定したり、適度に動きながら休むとしよう。
ロープが弛んだ物、鳴子が壊れた物、久々に確認してみればやはり雨風で劣化しているな、古い物だと設置してから3ヶ月くらいだろうか、ロープも漂着物だし当然と言えば当然な結果だな。
弛んだ物は張り直し、壊れた物は補修する、どうしようもない物は午後にでも新たに作って交換しよう。
一通り見て回って補修を済ませたところでお昼休憩を挟み幾つか鳴子を作る、こんな事なら温泉で余った分を持ち帰るんだったな、まぁ大した手間でもないし作っているだけで時間潰しにはなるだろう。
鳴子を設置しなおしてやる事もなくなり、残りの時間は休みながら過ごそうとテントの中に入る、相変わらず分厚い雲が空を覆っていて雨が降りそうだが耐えてくれている。
このまま夜まで続いて欲しいが今にも降りだしそうできっかけが一つ有ればそれを皮切りにって感じなんだよな。
そのまま夕方まで過ごすが、雲がより分厚くなりもはや真っ暗に近いな、流石にこの感じだと漁は厳しいが見えない訳ではないしサクサク済ませてしまおう。
相変わらず波が高いが朝よりはマシかね、まぁ気のせいかもしれないが。
とりあえず水抜きを済まして食料を確保してしまおう、幸いにして魚影が気持ち悪いくらいにワンサカだから確実に必要量は確保できるし。




