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神に

 拠点に戻ってきたところで装備を整えて漁に向かう、米を炊くのは確定としてこの成果で今日という日が決まるといっていい。

 墨巣さんの誕生日を彩る夕食が何になるか、割りと瀬戸際に近いと言うか背水の陣だが頑張ろうが気合いをいれようが泣こうが喚こうが嘆こうがどうにもならないんだよな、せいぜい海の神が気を使ってくれる事を願うしかない。

何時ものようにテキパキと作業を進めていく、水を抜きつつロープを手繰り寄せる、タコにウナギかそれにゴンスイとハゼ、それにカワハギかかなり良いんじゃないかな。


 鰻重の準備をしつつタコを煮付けてと調理を進めていく、しかし鰻を捌くのにも慣れてきたな、流石に店で出るようなとまではいかないが素人である事を考えれば十分に綺麗に捌けている。

 焼いて蒸してまた焼いて、個人的に関西風が好きだからこの作り方なんだがよくよく考えてみると墨巣さんは神奈川の人だし関東風の方が良かったよな、まぁ捌き方は背開きだからハイブリッドって事で許してほしい。

タレが弱いため絶品ではないが流石は高級魚って感じの味には仕上がる、残念ながら毎日鰻は取れないし毎日火をいれて腐らせないようにするにしても鍋に余裕もないしな、毎回毎度、骨や頭から出汁を取りつつ誤魔化すしかない。


 さて、めんつゆを使ったお吸い物擬きも作ったし誕生日を祝うとするか、歌う事もないしただ食べるだけだが祝う心だけは持っていよう。

 しかし祝いの席で酒を呑まないのは成人してから始めて、いや俺の誕生日もあったから二度目か、親父と違って一升瓶を数本空けても平気なんて事はないが酒は好きだ、それこそ口実がなくとも呑むし晩酌を傾けなくなって久しいな。

しかし料理酒しかない、まぁ呑めなくはないと思うが微妙だよな、別に味とか値段とかを気にする事はないがそれでも最低限と言うか安酒にしても酒は酒で、料理酒はそれとはまた違う、酔えはするだろうがそこまでして酔いたい訳でもない。


 さてせっかくの祝いの席をこれだけで終えるのは勿体無いが何も無いし何もできない、残念ながら宴会芸を披露するには色々と足りていない、ちょっとした手品くらいは披露可能なくらいには器用だがタネがなければどうしようもなく、バースデーケーキなんて物はない、プレゼントに花束一つ用意できないのにその他もろもろ用意できる筈もない。

 肩叩き券を発行しようにも紙すらないんだ、無い無い尽くしでも何か捻り出せるなんてのは漫画や小説の主人公くらいだ、それもラブコメかハーレムの神に愛された奴くらいで、博打の神に愛されているかもしれない程度の俺には不可能な領域だな。

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