表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
470/1039

古代人

 さて、一度拠点に戻ってお昼休憩を済ませて材料運びだ、その後は鳴子の加工かね、作業時間的に必要量は遠いだろうがとりあえず少しは進む。

 流石に帰り道は海岸線を遠回りする必要はなく直通路を使って時間の短縮だ、とは言え竹を置いている位置からやや森に分け入るから10分くらいしか変わらない、いや再度海に出る時間も計算に入れるなら20分近い短縮になるな。


 拠点に戻ってお昼休憩をしっかりとって、再度竹を担いで温泉を目指す、足元は砂で良いとは言えないがもはや慣れた、なんと言うか1日毎にこの島に順応していっているな、ほんの半年前にはアスファルトとコンクリに舗装された地面を歩き、バイクに跨がり電車に乗って遠出したし、小腹が空けばコンビニに立ち寄り、スーパーマーケットで夕飯の献立を考えながら財布と相談しつつ買い物をしていたんだがな。

 そんな文明の形を離れて久しく不便でしかない生活に慣れたな、と言うか初日から不便と思っていなかった気がする、なんと言うかあの頃はテンション高くて真面目に楽しんでいた感もあるし、気付いた頃には慣れていたのだろうな。

そう考えると禁煙に近いな、この間の荷物にも煙草はあったが墨巣さんが送り返していた、その事を全く気にしていないし吸いたいとも思わない、気が付けば不便になれてこのサバイバルが日常に組み込まれてしまっている、おそらく普通の生活に戻ったら当たり前の事への驚愕の毎日だろうな、蛇口を捻れば水とかボタンを押せば風呂とか、うん、なんだろうか自分が古代人になった気分だな。


 運び込んだ竹を適当に転がして墨巣さんと手分けをしつつ鳴子を作っていく、温泉の整備は最低限に済ますにしてもこれだけは外せない部分だしな、或いは墨巣さんにとって俺という覗きをする可能性がある人間から警戒する、いや張ってる場所知ってるから無意味か、と言うか覗かないし。

 性癖等の前提を置いておくとしてもこの島に来てから性欲は減退傾向にある、皆無ではないが基本的に湧いてこない、なんと言うかいよいよ悟りの道が近いんじゃないかとも思ってしまうな。

まぁ先輩に言わせれば俺は愛す資格無しかもだが、確か『自らの好む物の変態性を自覚している時、それを誇れずオープンにできないならそのジャンルを愛する資格無し』だったか、まぁ墨巣さんを単純に友人にカテゴリーするかという問題は別として俺から話す事はないだろうしな。と言うか奴が特殊過ぎるだけか、奴を基準に考えてはダメだし、奴の言うことを真に受けるのはもっとダメだな、そう考えると少し落ち着くと言うか安心するな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ