未来予想
ロープを引っ張り手繰り寄せ、水の抵抗と格闘する事10分弱、引き上げた罠を確認して全ての中身が空であると把握すると同時に、直ぐ様とは言わないがテキパキと海に投げ入れる、後は夕方まで放置して様子見だな。
続く作業の信頼度は非常に高い、今日まで数はともかくとしてほぼ毎日の食料を与えてくれた潮溜まり水抜き漁だ、少なくとも小魚が居るのは現時点で見えているし、水量が減って隠れる場所が減れば捕らえるなんて容易だ。
本日の成果は小魚3匹と小蛸が1匹、朝から上々の立ち上がりと言える、さぁ漂着物拾いの時間だ。
ゴミの山を片しながら使えそうなロープを探す、シェルター建築でかなり消費しているし有って困る物でもないからな、細い太い長い短いの差異は有れど数も種類も質もとにかく揃えたい。
そう言えばになるが、拠点を移して以降は流石にここまで来れないよな、新たな漂着ポイントを見付けるかシェルターでの夜営を覚悟で遠征するかの二択、いや平行作業を入れて三択か、いずれにしても予定が増えた。
さて串刺し魚の焼き物に小蛸の炒めを昼食を済まし、早々に森の道を進み竹林に向かう。
斬り倒された大量とは言わないまでもちょっとした量の竹の中から細い物を無理せず運べるだけロープで纏め肩に担ぐ、数を揃えるのは大変だが完成さえしてしまえば1年くらいは使える筈だ。
今さらだが竹林側にシェルターを作っても良かった筈だ、いや此方に拠点を移す予定な訳だし同じ場所に二つの夜営地は必要無いだろう、むしろ漂着物拾いや遠征時の夜営地としての利用を考えれば現拠点に位置しているのは都合が良いかもしれない、何よりもう作ってしまっているしこのまま突き進むしかない。
休憩を挟む事2回、6本の竹を拠点に運び込みロープを解いてシェルターの近くに転がし、全てを掴んで太さを調べて良さそうな物を選び1.5メートル程度を切り分けてナイフで先を削れば竹銛の完成だ。
いや竹槍か、槍と銛の違いなんて武器か漁具かの違いくらいだろうし、どちらも転用可能で互換性が有りそうな物だ、呼び名なんて些細な事だろう。
さぁ暗くなる前に狩りを済まそう、拠点に戻り火を起こすのは暗くても星明かりでどうにかできる程度には慣れているが、流石に暗い水面を相手にするのは無理だろう、何より真っ暗な海というのは美しさも有るだろうが根源的な怖さもある、少なくとも人間は暗闇を恐れる生き物だし多少の適応はしても適してはいない。
テキパキと水の掻き出しやら蛸壺引き上げと餌の入れ換えやらを済まし、沈み行く大陽を受けて銛を構え、水面の魚影に集中する。
魚の動きを予測し、腕の振りを考慮し、手ブレを予想して狙いを定め一気に銛を投げ入れる、水面を切り裂くと言うか突き抜けて魚影を捕らえる事なくそのエネルギーを水の抵抗に飲まれて失い、静かに浮き上がって役目を終える。
流石に一発成功とはいかないか、まぁ回数を増やせば慣れてくる筈だ。
ポイントを変える事数回、同じだけの失敗を重ねて成果は0、流石に悔しいな、どれだけセンスが無いんだと言う話だ。




