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ご近所

 天候も良好、体もそこそこ回復しているし絶好の作業日和だ、残念ながら今日中にあの壁を抜けるのは無理だが後数歩ってところまでは持っていけるだろう。

 何時ものように漁を済ませて早速作業だ、起きてから2時間以内に移動して藪と向き合うって1年、と言うか半年前でも考えてはいなかっただろうな。

2ヶ月くらい前ならギリギリ先々の予定として頭の片隅には有っただろうがここまでとは夢にも思ってみなかった筈だ。


 ひたすら藪を切り開いて、蛇は出ないが虫は出てくるし蔓はウザいし蔦は敵だし、こうなってくると猫の手でも借りたくなってくるが狸か鹿かゴリラか熊しか居ない。

 よくよく考えてみればなんだこの面子は、桃太郎やブレーメンの方が幾らかマシだぞ、俺は吉備団子も楽器も持っていないから仲間にはできないがスマイリーの剛力ならこの程度の藪は、流石に無理か、腕力だけでどうにかなるなら昨日で七割は片付いている。

道具と知識と力でようやく半分を越えたんだ、単純な力だけで片付く筈もない、仮に俺にゴリラ並の剛力が宿ったとしても焼け石に水だろうな、ほんの少しは早く片付くだろうがその程度でしかない。


 お昼休憩を挟んで作業を再開する、それにしてもそこそこ進んだな、回りの藪との対比で天井の無いトンネルのようだ、なんかこんな感じの迷路とかあったような気がするが思い出せない、残りは約2メートル、明日には片付くかね。

 やはりと言うべきか数歩足りないな、それでも明日にはなんとかなりそうだな、ここさえ抜ければ序盤は終わりだ、次からはお弁当を持ち込んでの作業になるだろう、中盤の迂回路は岩場ばかりだし基本的に後半を整備って感じになる。


 片付けを済ましてから拠点に戻る途中でまたスマイリーと鉢合わせる、『やぁまた会ったね』なんて言い出しそうなくらいに自然と言うか、もはやご近所さん感覚に近い、それではダメなんだがニヤリと笑うその顔に慣れを通り越して親しみすら感じられる。

 ノソリと近付いてきて俺達の回りをグルリと一周してから森の奥へと消え去る光景もこれで何度目かね、何を確認しているのかは解らないが興味は尽きないって感じだろうか? 聞きたくても聞けないのが残念だな。


 墨巣さんは相変わらず怯えているがこれが普通の反応なんだろうな、ズレの影響か俺は慣れた、絶対にダメなんだがもはや恐怖すらない、なんと言うかほんの数日前の決意が水泡に変わった事だけは確かだな。

 とりあえず拠点に戻って漁だ、もはやスマイリーを事件とすら捉える事ができなくなった身だが食料は大事件に繋がるし。

タコは無しで小魚が少しか、久々のリバウンドだな、とりあえずもう一段行くとしてご飯を炊いて量を補うとしよう。

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