直通開拓
漁を済ませて夕飯を楽しみテントに引きこもる、しかし今日は大変だったな、移動ばかりだったというのが強いがそれ以上にあの藪が大きい。
アレを抜けるのは一苦労だろうが幾つかあるポイントの一つでしかないって点が恐ろしさを加速させている。
しかし綺麗にと言うと語弊があるが、綺麗に壁になっているよなあの藪は、まるで生け垣のように幅は数メートル近く、奥行きも1メートルは余裕で越えて俺の目線より高い、回りが広葉樹ばかりな事を考えると低木と言っていいが奇跡的に周囲に枯れ木が多く日光も適度に降り注いでいる、なんと言うか歯車一つで枯れるような代物が狙い済ましたように邪魔な場所に居座っていて、神に準ずる第三者の悪辣さにあらんかぎりの罵詈雑言をくれてやりたくなってくる。
目覚めてすぐさま耳を澄ますようになってしまったな、目を開くのも起き上がるのも億劫だからまずは耳から情報を入れようとする、寝起きだから仕方がないとは言えなんと言うか横着だよな。
朝の運動を済ませてさっそく漁からだ、今日は位置的にお弁当を持っていく必要もないし、のんびりできるな。
タコが二匹に小魚が少し、墨巣さんの突いたカワハギか十分だな、さて作業に向かうとしよう。
拠点に戻って装備を入れ換えてから森を抜けて藪との戦いだ、今までも森との戦いだったがそれがお遊戯に思えるくらいの鬱蒼具合だがこれは骨が折れそうだが今日1日でなんとかなりそうではあるな。
ひたすら切り進み、蔦を蔓を切り裂いて少しずつ確実に前に進んで出たゴミを放置していく。
流石に出てくる枝葉の量が凄まじいな、すでに焼き芋を焼くのに良さそうな山ができている、と言うか蔦と蔓が酷い、一本を引きちぎるのに苦心して引きずり出した物は軽く数メートルはあるのだからその量は山盛りとしか表現できないくらいだな。
お昼まで頑張ってはみたが半分と少ししか進めない、なんと言うか物凄く大変だな、チェーンソーが欲しくなってくる。
食休みを挟んで再び戦いの時間だ、墨巣さんと交代しつつの作業とは言えキツいな、しっかり休んで体力的には存分に余っているがそれでもかなりキツい、先は見えているし数歩足らずなんだが一歩が遠いな。
なんとか藪を抜けて迂回路を一つだけだが必要ない状態にしたな、しかしたった一つでこれほどまでに大変とは先が思いやられてしまう。
それても一つは片付いたんだ、残りもこの調子で片付けていくとしよう、まぁ今日の所は漁の時間もあるし切り上げだが。
とりあえず拠点に戻って装備を入れ換えてから漁に向かうとしよう、今日は久々に米も炊きたいしサクサク済ませてしまおう。




