UFO
赤と緑のライトを点滅させながら現れた異形は相変わらず大きく畏怖すら感じてしまうな。
これでも最新鋭からは三つ程遅れを取るのだから驚きだ、少なくとも子供のおもちゃにはなり得ないが民間人でも買えるってのはどうかと思ってしまう。
まぁ所有者は少ないだろうがその気になれば宅配とかできそうなスペックだし運送業社とかが買いそうだな、残念ながら数が少ないし持ち運べる荷物も多くないからシステムとして組み込むのは難しいかもだが速達便とかには向きそうだし。
相変わらずの神業で枝の隙間を抜けてゆっくりと着陸してプロペラが止まる、テキパキと下部のコンテナを取り外して中から段ボールを取り出す、重さ的に10キロは越えているな、中身は後で見るとしてコンテナに空き缶を入れて再装着する。
これで離陸準備は完了だ、段ボールの上に乗っていたメモによれば短縮2番で繋がるらしい、こっちで設定した訳でもないのにどうやって登録したのか不思議だがそういう機能付きなのかね。
2と通話ボタンをプッシュして呼び出し音が鳴った数瞬後には切れてプロペラが回り出す、そのまま爆音を鳴り響かせつつ飛び去っていくドローンはなんと言うかUFOを思い起こすな、やろうと思えばキャトルは無理だが犬猫くらいならミューティレーションだろうし。
まぁ現代技術を持ってしても流石に動力不明で浮遊するのは不可能だから数百年前から想像される未確認飛行物体を人類が開発するのはまだまだ先になりそうだ。
さて届いた荷物の確認だが流石に暗いしな、明日に回すとしてゆっくり眠るとしよう。
気持ちのいい目覚めとまでは言えないが少なくとも雨の音はしないし筋肉痛や疲労はない、単純にまだ眠気が抜けていないってだけだが気分は最悪に近い。
さて、とりあえず朝の漁を済ませるとして荷物の確認だな、その後で開拓作業だ、今晩は新月だしお楽しみが山盛りで嬉しい悲鳴が止まりそうもない。
ひたすら忙しさを受け入れる必要もあるが一つ一つ確実に済ましていこう。
とりあえず今日も今日とて何時もと同じく代わり映えなく、準備を済ませて漁へと向かう、何時もと同じく水を抜きつつロープの引き上げだ。
何度でも思ってしまうが本当にサイフォンは便利だな、ロープを引き上げる間にかなりの量の水が抜けるし魚を絞めたり餌を入れ替えたりと一通りの作業が終わる頃には半分近くが減っていてほんの少し汲み出せば漁が可能となるし。
問題があるとするなら希に海草や小魚が詰まる事があるって点かね、流石にそれをどうにかはできないがホースが三本あるから一つ詰まったところでほんの少し時間が必要になるだけだ。




