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お久しぶり

 時おり、完全に枯れて、それでも伸ばした枝葉が他の木を寄せ付けずに日光の差し込む場所が在ったり、何が有ったのか真新しいへし折れた木や、飛んできたのか転がってきたのか、それとも隆起したのか判断に迷う苔むした大岩が在ったり、稲のように腰くらいまで伸びた下草が拡がっていたりと刻々と表情を変えていて飽きないな。

 しかしこの短い距離の間によくもまぁここまで揃ったと言いたくなるくらいにカオスだな、かなり前にシェルターから竹林を結ぶルートを開拓した時とは全く違うな、季節的な問題かそれとも位置か、まぁあの頃は下草もそれほど延びていないかったしスタミナも満ちていた、残念ながら比較対象には……いやギリギリなるのか、一つの基準くらいにはなるだろう、ただ残念ながらあの時はどの程度の日数で開拓したのか覚えていない、3日も使わなかったと思うのだがどうだったかな? 距離的には今回の方がやや長いし条件も悪いから倍として休息日を入れればざっと1週間と少しか、本当に大仕事だな。


 少しずつではあるが前に進んで、ようやく三割って辺りで時間一杯だな、しかし随分と蛇行していると改めて思う、恐らくだが直線距離より1.5倍は歩くぞ。

 しかしどうだろうか、温泉の有効利用が可能になってから階段と共に直線で開通できるように改良ってのはアリなんじゃないかな? 全てが終わってとなると8月の半ばくらいかね、その後は特に決まっていないし流石に半年近くも暇をもて余すというのは苦行だ、改良作業をねじ込めば一月は作業に没頭できるし良いんじゃないかな。


 等とツラツラ考えつつ枝葉を片付けて戻る準備を済ませているなかで、ガサガサと終焉の音が聞こえてきた、墨巣さんのいる方向とは全く違う、森の中から何かが動く音が聞こえてきた、頼むから鹿であってほしい、そしてこちらに近付かずに立ち去ってほしい。

 望み空しくノシノシと巨体が枝を揺らしながら歩いてくる、お久しぶりのスマイリーは相変わらず立派な体躯だな、目を外しているから解らないがおそらくニヤリとした笑みを浮かべながらなんだろうな、そのまま近付かいてきて俺と墨巣さんの回りを一周した後、そのまま海に向かって立ち去っていく。

見逃してもらったのか、それとも食べ物、もしくは敵対的な存在と認識していないのか、とりあえず今回も命を拾えたな、ただ数回の邂逅でかなり興味を持っているらしい事は理解できる、少ないくとも向こうから敵対してくるとは思えない。


 あまり思い出したくはないから考えていなかったが、初見の時から威嚇とか一切無かったし走り寄ってくるとかすらない、なんと言うかこちらに恐怖を与えないように動いてくれている感じがする、顔を付き合わすとかは俺が勝手に恐怖体験にしているだけでゴリラからしたら友好の証かもしれないし、ニヤリと笑うのもゴリラにとっては挨拶かもしれないな。

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