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今さら

 とりあえず結ばれたロープと竹を外して新たに竹を切り、太さが大体同じ三本を地面に転がして柱と結ぶ、これを足掛かりにさらに三本を井桁に組んで結び床梁は完成した、後はこの上に竹を渡して床を張れば良い。

 さて、残る竹は一本の半分だけだがやれるだけやろう、縦に四分割して屋根に並べ、鉄板の穴を塞ぐように配置して結ぶ、半分も埋まらないが次の作業で終わる筈だ。


 さて時間が余った、かと言って竹林に行ける程の時間はないし、漂着物探しでもして時間を潰そう。

 本当なら塩でも作るべきなんだろうが保存する容器が無いし、海水を汲んですぐに火にかけて塩を取り出す訳にもいかない、時間を置いて砂やなんかを沈殿させたいし、可能なら木綿で濾してさらに汚れを取り除きたい、最低限の姿形を整えるにはまだ足りない。

とまれ、今できる最善をだ、何度も何度も探して何度も何度も拾い集め、そろそろ見るべき物も無いんじゃないかと思い出しているが、それでも新たに流れ着き、いつの間にか流れ行く漂着物の山を攻略すべく動き出す。


 そびえ立つゴミの山と格闘する事、約半時間。成果の変わりに雑多なゴミの山は仕分けされたゴミの山になり、まだ残る大量の漂着物に愕然としながらその場を後にする。

 いつもの磯でいつものように潮溜まりを見て回り、竹筒を引き上げるためにロープを手繰り寄せる、新たな日課となったこの作業も今日でとりあえずは終わりで場所を変えての漁に移行する予定だ、後は数を揃えてみての様子見もあるし、まだまだ実験は続く。

本日も中身は空で、予想していたとはいえ精神的なダメージは受ける、やはりポイントが悪いと見るべきだろう、よくよく考えれば他に隠れる所が山ほどある岩場に竹筒が有ったところで入る確率は下がる、隠れる場所のない砂地辺りに投げ入れるべきだったな。


 とまれ、実験としては上々だろうダメで元々、今後に繋ぐ方向性も見えた、第二第三の案を試して効率的に食料確保ができるようにしていこう。


 本日の夕食は蛸と鰯、それにサザエが一つ、量としてはかなりの物で腹八分目くらいは行く、明日は竹を運ばないといけないしこの量は非常にありがたい、空腹で動く事ほど辛い物もないからな。

中華鍋を使った炒め物に串うちによる焼き魚とサザエのつぼ焼き、毎日のように使っているお手製の箸で中華鍋や地面から直接食べるというワイルドな食事を終えて、竹を使った器とか簡単だから用意しようと決める。どうして今の今まで思い付かなかったのか自分の愚かさを恨むが今さらだ、気付いたのだから明日にでも行動に移せばいい、むしろ半年とかほぼ1年経った頃に気付こう物なら後悔と恥ずかしさで大変な事になる、それを考えればまだ傷は浅い。

そうやって自分を鼓舞して慰めておこう、じゃないと久々に心が折れそうだ、とにもかくにも早く寝て明日には状況改善で昨日までの自分の敵討ちだ、ただし敵は己なので多少の痛みは覚悟しよう。

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