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甘味

 一口目の感想は甘いなぁと、缶詰のフルーツを食べる自体がかなり久々だが、こんなに甘かったかな? というくらいに甘い。

 やった事は一度もないが角砂糖をそのまま口に入れればこんな感じなんだろうなってくらいに甘い、この数カ月甘味から遠ざかっていたからというのも有るのだろうがとにかく甘さしか感じない。

それでもミカンを噛み潰せば甘酸っぱい果汁と柑橘の香りが口に広がり、鼻腔を支配していく、腰が砕けそうなくらいに、頬が弾け飛びそうなくらいに美味しいという感覚が脳天から足の爪先までを雷の如く痛烈に響き、脳細胞の一つ一つにその甘さと味が染み渡っていく感覚。


 こんな経験は20年と少しの人生で流石に初めてだな、感動で涙を流しそうなくらいだが、普通にコンビニで売っているような、三百円も出せば余裕で買えるような代物でしかない、言い方は悪いがその程度の甘味がとんでもなく美味しく感じるくらいに俺の体は作り替えられたらしいな、この島だと甘味は料理酒と米くらいだから仕方がないとは言え驚愕の味だ。

 そのままシロップまで飲み干して久々の甘味を全て腹に納める、なんと言うか久々に味わったおかげで美味しいとか甘いとか以外の感想もなく食べ終わってしまったな。

勿体ない気がしてしまうが思い返してみればそれで当然なんだよな、甘くて美味しいそれだけで十分なんだろうがこんな生活を続けているせいで特別感が強くなってしまっていて損をしている気分になってしまう、そんなどうでもいいような部分にまで影響が出る生活を4ヶ月以上かやはり俺は何処か世間ズレしているらしい。


 念のために使った食器を水洗いして缶詰も綺麗に洗い流し、食器は明日にでも焼いてしまうとして缶詰は次の補給の日に返すまで何処かに保管する必要があるな。

 とは言え拠点周りに置いておくのも危険か、しっかり洗ったとは思うし匂いは残っていないが人間と動物では嗅覚に差が有るし、ほんの僅かな匂いを便りにと言うのは十分に考えられる、かと言ってそこらにという訳にも行かないし埋めたところで掘り返される心配もある。

ならば楽なのは木の穴の中かね、それも人間なら取れるがゴリラや熊だとサイズ的に難しい場所、幸いにして木々には困らないが暗いしな、とりあえず適当な場所にというのが妥当かね、明日にでも持ち越して何かしらの手を打つとして、とりあえず適当な木の根本に埋めておこう。



 目覚めと同時に動き出したいのはヤマヤマだが先に漁を済ませてしまわないと昼飯抜きだ、危険を解っていてもその手は取れない、悪手でもない自殺手になるしな、まぁ最善手でもない疑問手ってところかね。

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