混戦
拠点に戻り微妙に温いお湯加減を確認しつつ再度点火するのも面倒でそのままテントに持ち込んでタオルを浸ける。
そのまま服をまた脱いでタオルを絞り体を拭う、流石に汚れは少ないが垢は出てしまうな、とは言え生まれ変わった気分だ、汚れは一つもなくとまではいかないがかなり体は綺麗になったな。
後は洗濯だけで今日の予定は終了だ、サクサク済ませてご飯にはまだ早いか、チェスでも打つとしますかね。
洗濯を済まして地面に線を引き駒をセットしていく、とりあえず俺の先手から仮想敵はソノ先輩にしておこうか、あの人の打ち筋は意味不明だからトレースは不可能だが似たような事は可能だ。
緩急をごちゃ混ぜに、布石を大胆に、守れば脆弱に見えて柔らかく相手を受けとめ、攻めれば蛮勇に見えて活路を見据え、混戦だろうと防戦だろうとカオスを好む、そんな打ち方をトレースしつつ単純な一進一退ではなく攻めて守ってでもなく混沌とした戦局を乗り越えていく。
速攻猛攻の望や奇術混在の親父、俺以上に護りに徹する祖父と違い最後まで結果は見えず、辛勝か圧勝か、惜敗か惨敗かの判断も難しい。
それでも勝ちは拾えた、中盤から守って守って期を待った結果だな、残念ながらトレースではなく本人なら待ったところで自滅するような打ち方をしてくれないからそこはトレースの限界で、俺の棋力の限界かね。
次は昼飯の後として仮想敵は俺自身で行ってみるか、守りと守りの戦いだから長期化するが自分の弱点を知るには良い。
お昼ご飯を済ませて早速仮想俺と試合だ、とは言えある程度の差違は必要だし仮想の方は序盤でキャスリングしての防御八割、俺の方は温存しつつ防御七割で行ってみよう。
一進一退と言うか、常に退いて退いての長期戦、乱戦どころか混戦にすらならない攻防、互いに守りに徹するせいで攻め手は足りず、殴り合いの取りつ取られつですらない様相を続け、最終的には俺の敗けで終わった、キャスリングを温存し過ぎて守りを固めるのが遅れたのと誘いで守りのポーンを動かしたのが敗因だな。
流石に守りに重きを置いた相手に誘いは悪手だ一手損に加えて守りが薄くなり、そこを突かれて崩され乱戦に持ち込む前に決した、磨くべくは相手の出方から最善の誘いと緩急の付け方に終局の粘りかね、と言うか自分で言うのもなんだが鬱陶しい打ち筋だな。
ひたすら守って退いて消極的な打ち筋はある程度先は読めるが対策が取り辛い、ある意味一気呵成の速攻猛攻で攻め立てる望の打ち方は最善解かもな。




