三馬鹿
返答は一切する事なく、次の言葉を待つ、俺からしたら夢とか希望とかロマンとか詰まってるんだがな、残念ながら賛否両論だし顰蹙は買う、少なくとも目の前の彼女は怒りしか覚えない。
「それ以外についてはまぁ良しとするわ、ちょっと、いいえかなり面食らったし相当異常だとは思うけれど事前に聞いていたわけだし」
それに関しては否定しない、どころか全面的に肯定する、あの先輩はそれだけのインパクトを持っているし、まず忘れられないし多少の嫌悪感を持つ奴が大半を通り越して十中八九すら下に置く、好意的に見るのは大量に貸しのある俺でも無理だ。
「異常と言うか異様と言うか、変態すら下のド変態、本当になんで逮捕されてないのか不思議だよ」
と言うか訴えられていないのが不思議だな、まぁ裁判になったら証言台か取材で「何時かやると思っていました」としか言えない、本当にその辺りの線引きと嗅覚が良すぎる、俺としては一度と言わず何度となくお世話になってほしいところではあるのだが。
とは言え残念ながら一度として訴えられたりしていないし風紀部やら生徒会教授会で話題になった事はあれど注意勧告すら無しだ、俺ももしもがあればブツクサ言いながら助ける様に動く程度には貸し等を超越した信頼とも違う絆のようなものがある、物凄く遺憾ではあるし物凄く嫌なんだが嫌々ながら付き合って4年、慣れてしまっていて、昨日の荒ぶり模様でさえ通常運転の範囲内と思えるくらいには固定観念が壊れてきている、むしろ真面目にしていたら明日世界が滅ぶと覚悟を決めるだろうな。
「さて、いきなり逃げを打たせて貰うが三馬鹿についてだ、話したことは有ったように思うけど一応簡単に説明しておく」
情けない事にそれ以上何かしらの感想も浮かばず、かと言って追及を受けるのも怖く、話題を変えさせてもらう、と言うか手を止めずに穴堀りがかなり進んでいる時点でどうなんだと問いたいが。
後は柱を建てて砂利を流し込んでという段階まで進んでいてなんと言うか笑えてしまう、1時間以上が余裕で経過しているのに会話は短かったわけだし、返答にかなり困ったんだろうな、俺としてはノータイムに近かったと思うのだが実際には数分の思考時間を必要としたらしい。
「一人目は山尾昇、山脈に尻尾、昇降の昇でヤマオノボル、俺の幼馴染で親友、名前の通り登山好きでサバイバル知識の一部は奴からの受け売りだ、二人目が海野鶴子、海の野原に鳥の鶴に子供でウミノツルコ、釣り好きで海産物系の危険生物知識は彼女の受け売りだな、注意点として名前と趣味に関して昇はネタにしてるが鶴子は触れるとガチギレるから、最後が昨日居た日暮望、その日暮らしに望みを叶えるでヒグレノゾム、天体好きで残念ながらサバイバル知識については教えてもらってないが一括りで三馬鹿だ、名前と趣味に関しては聞いたことないから不明」




