下準備
石を運び終えて、ようやく本格的に建造スタートだ、まずは柱から建てていくとして距離は確認する必要があるな。
まずは竹を川に渡して長さを確認しつつ幅は30センチもあれば良いか、おおよそで印を着けて、そこから川の向う岸に移動か、かなり面倒だな。
墨巣さんをその場に残して池を迂回して数分掛けて温泉側に移動する。
「マーキングしたところに竹を合わせてくれ」
ほんの数メートルにも満たない距離だから叫ぶ必要もないのだが深さはそこそこ、流れもそこそこ、走り幅跳びで渡る事もできずに僅かな距離のために橋か、なんと言うか現実を直視するとやっていられなくなるな。
竹で位置を確認しつつマーキングも済ませていく、どうせなら一気に柱も建ててしまいたいし材料は軽いから投げ渡す事も可能なんだがとりあえず拠点側から始めたいしな、明日に回すとしよう。
また池を迂回して建造現場まで戻る、なんと言うか仮の橋でも作った方が良いのかね、強度とか無視した奴を作ってとりあえず移動と搬入用として簡易の物なら作っても問題ないし。
とりあえずそれで実験にもなる、先に柱からとも思ったが簡易の橋を作る事から始めよう、と言っても竹を三本ロープで縛るだけなのだが。
ツラツラと予定を組み立てつつ建造現場まで戻り早速作業開始だ、材料として持ち込んだ竹をロープで固定、とりあえず仮だし四ヶ所で良いか、テキパキ縛って10分足らず、簡易橋が完成する。
三本だと幅はそこそこ狭くバランス感必須だがまぁ大丈夫だろう、若干重いがそれでも竹だけあって軽々と渡して後は調整だな。
さて慎重に足を乗せて体重を乗せていく、とりあえず大丈夫そうだな、そのまま上に乗って慎重に進んでいく、真ん中を越えて向う岸に渡ったところでようやく一息だ、位置を調整して仮建造の橋が完成だな、強度には不安が残るがとりあえず本格建造までの繋ぎにはなるだろう。
さてまた戻って本格的に作業開始だ、手間や時間としては大したものでは無かったがロスなのは確かだしサクサク進めよう、まぁこれからは迂回する必要がないからその分は余裕で取り返せるのだが。
とりあえず穴堀りからとなるが深さは1.5メートルは欲しいが掘れるかね。
フライパンスコップで地面を掘り返しつつ、さてもう一つを始めるとしよう、あまり気は進まないがこのままというのは非常にマズイ。
「昨日居た望について話した事って有ったかな? 確か三馬鹿として話してたと思うんだけど」
朝の挨拶や食事の始まりと終了を告げる定例句以外だとこの日初めてとなる会話を求める言葉だな、なんと言うか数時間も掛けてしまって情けないな。




