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懐かしの

 「いや、定期報告だ」

 端的に告げつつ持ち込んだ電話の電源を入れて短縮ダイヤルをプッシュする、コール音が数度でガチャリと誰かが出る、さて今日は誰かな。


 「はいもしもし高田です」

 それは絶対に聞きたくない声だ、一気に頭が痛くなってきてすぐに電話を切って電源をオフにして、数日置いてから報告したい気分だが間違いなくその程度の余裕を持って休暇を取っている筈で、残念ながら止めようがない。


 「おい、俺の家で何してやがるクソ野郎」

 もう少し優しくと言うか穏和な挨拶もできたし『お久しぶりです』とか『ご無沙汰してます』とかが正解なんだろうが奴を相手には全く必要性を感じない。

 「オヤオヤ、ずいぶんとご挨拶だ、溜まっているのかな? だったら私の自撮り写真でも送ってあげようか? なんなら下着も付けるよ」


 「死ねよ」

 どうやらこの数カ月でまともになっているかもという僅かな希望は消え去り、他人の実家でオシトヤカになんて淡い理想も消えて相変わらずぶっ飛んでいるなソノ先輩は。

既に墨巣さんからは信じられない物を見る目から憐れみの目になっているが初めの挨拶に対する返答を受けて考えを改めつつ警戒心が芽生えているって感じだな、しかしなんであの人が我が家に居るんだよ、と言うかなぜ電話を出ているんだ、いやそもそもどうやって中に入った。


 「ゴメン、本当にゴメン、私じゃ無理、後でお母様に言っておくから」

 「お前か、やる前に止めろってのは無理か、やるまで諦めないしそれなら一回だけやらしてから地獄行きの方がまだ楽だし」

久々に聞く戦友にして盟友たる望の声で全てを理解する、おそらくは相当な攻防があったらしく、その声に覇気は全くないし端的に言って疲れているがソノ先輩を一人で止めていたなら納得だ。


 「それで、念のために聞くが親父たちも居るんだよな? なら親父、その変態に麻酔か何か射って大人しくできないか?」

 「悪いが免許を返上したり世間様に顔向けできないような事をするわけにはいかない、気持ちは解るがな」

やはり無理か、まぁ薬や麻酔で大人しくなるとも思えないのだが。


 「さて、とりあえず紹介だ、さっきから頭のオカシイのが前に言ってたソノ先輩、もう一人が確か話したような記憶が有るんだが天体好きの望、そんで会話に付いていけなくて、と言うか異常さに付いていけなくて黙ったままだけと墨巣さんだ」

とりあえず紹介だ、確か昇、鶴子、望の三馬鹿については簡単に説明したような覚えがあるのだがどうだったかな。

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