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間が悪い

 今日は俺の誕生日だと言うのに朝から雨とは運命の巡り合わせというのは何時だって間が悪いな、これで天気は晴れ、朝から鰻に夜にも鰻、作業は順調に進みとなれば何処かの神に信心を向けても良いのだがどうやら天上の彼等は信徒の大小を気にしないらしい。

 1日を棒に振るかそれとも午後には晴れてくれるのかすら不明だがとりあえずのんびり過ごすしかないな。

久々に悟りを開けない悟りへの道を見て、少なくとも無の境地へ到る事は可能になった、無我無心の階段を踏み非想非非想への道が開ければ仏陀に会えるのかね、或いはそれまでにもう一段二段の段階があるのかもしれないが仏教に限らず詳しくはないからな、とりあえず座禅修行で和尚に棒で叩かれる事だけは無さそうだ。


 お昼までの数時間を無心で過ごすとほぼ一瞬だな、それでも多少は時間の経過を感じてしまうから超越するほどに研ぎ澄まされてはいないって事かね。

 昼食は焼き干しで炙る事もなく美味しく食べ、相変わらずの空模様に辟易としつつまた無我無心へと到る道を歩み出す。

気付けば夕方という程に深く深く無の奥底に意識を沈めていたらしい、おかげで普通なら苦痛でしかない5時間近い暇を過ごす事ができた、これなら電車の待ち時間とか気にしなくなりそうだが僅か数分でそこまでイラつく事はないし、せいぜい女性の買い物に付き合わされた時に使うくらいかね。


 さて微妙に雨足は弱まってはいるが相変わらず降り続いているし諦めて焼き干しだな、或いは今日の雨で竈の屋根がチェックできるが夏場とはいえ雨に濡れるのは嫌だし明日にでもチェックだな。

 夕食が済んでも相変わらずの雨は動きを制限してきて、気分は最悪としか言いようがないが動くしかない。

テントの中に積まれている中から濡れても大丈夫そうな布を用意して頭を守りつつテントを出て墨巣さんのテントに近付く、全くこんな日に降らなくても良いものを。


 「少し失礼するよ」

 そう声を掛けてテントの入り口から覗き込む、ああもっと早く声を掛けて意思の疎通をしてからの方が良かったな、幸いにして焼き干し食べてる途中だったが着替え中とかなら信頼度はマイナスだったぞ。

なんと言うか詰めが甘いな、気遣いは無用と言われてはいるが線引きは必要だし墨巣さんの意図と今回の気遣いは別物だ。


 「えっと夜這いとかじゃ無いわよね」

 もう信頼度が下がっているんだが自業自得だな、だが残念ながらと呼ぶべきかありがたい事にと言うべきか俺は墨巣さんに性的魅力を感じていなない、流石にその事について事細かに告げるつもりはないのだが。

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