交渉
「まぁ大体は解ったけど、受ける条件として半年頑張ったら口利きだけはして欲しい、後は島の植生とか川や池の有無とか聞かないと買い物もできないんだけど」と追加で譲歩を狙う
「まぁ良かろう、ただし半年ではなく9ヶ月、島の概要を教えはするが買い物できる時間は明日の夜10時まで、当然だが相談は禁止」と条件の変更に成功する、ただしここが落とし所ではない、追加で買い物時間の制限まで付いたんだ、少なくももう一月は削れる。
「買い物の条件を元々は提示してなかったのに変更されても困る、7ヶ月が妥当じゃないの?」
「いや9ヶ月だ」
「7ヶ月半」
「8ヶ月半」
「8ヶ月」と醜い応酬の末に
「良かろう、8ヶ月で決まりだ、これ以上の交渉も譲歩も受け入れん」と締結する。
「じゃあ時間も無いし、早速で悪いけど概要を教えて欲しい」と問い掛けた。
「時系列で説明するが、確か2030年9月24日、突如として海底に火口が出没、僅か一年で大中火島は日本の領土に仲間入りした、それから10年後の2040年、二度目の噴火でさらに島は成長、以後数回に渡る噴火を繰り返し2060年を最後に休眠に入った、現時点での形状は楕円形でカルデラ型の山が一つ、長径が50キロ、短径でも30キロと広大な土地を持ち、最高峰は623メートルと比較的なだらかな山となっているな」
「海底はゴツゴツした岩場もあるが基本的にはなだらかな坂になっている、知っての通り黒潮が近いため漁場は強く。気候は温暖だな、植生は樫やブナなんかが多めで多少の松と大量の雑草に何故か竹が生えてるそうだ、動物は鳥と虫くらいしか住んでない、水場は数ヶ所はあり全て煮沸すれば飲める、地面は砂利と岩が主で砂と多少の土がある程度、後は大抵が腐葉土と火山灰だな」とツラツラと話す辺りを見るに計画したのは確定、事前調査までキッチリこなしたらしい、享楽家というか短絡的というか、相変わらず楽しむ事にかけては本気だな。
とまれ、話を聞くにマトモな食料は山菜と魚、後は野鳥と虫くらいか、山菜取りなら裏山で経験してるし野鳥もジビエレストランで食った事もある、虫は飲み会の罰ゲームでイナゴの佃煮くらいしか経験はないがいざとなれば食えなくはない、魚に至っては釣りの経験がない、せいぜいが干潮時に取り残された奴を野鳥と取り合いするくらいだろう。
となれば必須となるのは効率的な食料確保の手段と火を作る方法、後は拠点となるテント、それに調理器具や調味料も欲しいし、水は確保できるが安全のための浄水器も欲しいな。