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静かな夏

 疲労が溜まる腕で蒸籠を編む気にもならずのんびりと寝転がって時間を過ごす、墨巣さんの水浴びが済むまでは待ちだが一局って気分でもない、しかしあれだな、こう暑くても蝉の声が聞こえてこないってだけでかなり涼しい気がしてしまうな。

 あのミンミンと鳴り響く声が暑さを助長と言うか聴覚から精神的に夏を突き付けられるから実数値以上の暑さを感じていたと今さらながらに思ってしまう。

少なくとも朝からあの声で叩き起こされるなんて事はないし気が楽なのは確かだな。


 ならば風鈴とか付けたらもっと涼しい気分になるのかね、まぁガラスは流れ着いているから作れはするだろうが作る気にはならないな。

 涼を取りたいなら川に入れば良いだけだしな、それに拓いたおかげで日光が眩しいとは言え森の中だ、コンクリートジャングルよりは随分と涼しい筈でアスファルトが熱を持ったまま夜まで残るなんて事もない、これ以上を望むのは欲張りというものだな。

それでもやはり実家にいた頃や一人暮らししていた頃に比べれば暑いのは南の島で火山島だからかね、温度計とかないから比較も体感だが確実に35℃よりは上だろう、蒸し暑さの中というのは中々に辛い、クーラーとか扇風機とかは本当に凄い発明品だと何度となく思ってしまう、いやこの生活をしているとライターどころかマッチですら人類最高の発明品に思えてしまうな。無いものねだりなんだろうがありふれた物を謳歌していたと今さらながらに実感する、まぁ幾つもの便利グッズがある分、マジに遭難とかしてサバイバルしている人よりはマシなんだろうが。


 戻ってきた墨巣さんと交代して池へと向かい、手早く服を脱ぎ捨てて水の中に体を沈めていく、相変わらず冷たくて気持ちいいな、山を見る限り雪融け水とかでもないがそこそこに冷たい、地下水ってそういうものなのかね? 実家は旧家なのに井戸が無い、と言うか俺が生まれるずっと前に埋め戻されているから不明なんだよな。

 とは言え小説とか漫画とか昔の映画の描写を見るに冷たいらしいが、残念ながら体験した覚えは無い、探せば有るんだろうが興味も無かったしな、地下水を始めて触るのは此所に来てからとなる、不思議と言うかなんと言うか火山島だし温かいのが普通だとは思うんだがな。

温泉とも距離的に5キロと離れていないのだが僅かな距離でも大違いだな、しかもあの温泉川を遡って確認したのは途中まででまだ先は有った、上流に進むにつれて温度は上がっていたし仮に源流からとしてかなりの熱湯が吹き出ていると思うんだがな。

或いは二つの源泉が有って片方が水、片方が温泉ってパターンでもやはり温度は高そうだ、残念ながら源泉を使って温泉卵は絶対にできないのだが。

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