ビックリ一族
まぁ今は墨巣さんに掛かりきりだろうが、現状が解らない以上そんな事に触れたところで角しか立たないし口には出さないが。
残念ながら状況は最悪なのか最良なのかすら不明で俺の現状で打開するのは不可能だ、何が起こっているのか解らないのに動きようもないしそもそも何かをするためにはギブアップするかイカダでも作って海を渡る必要がある。
前者は何時でも可能だが墨巣さんを放置して戻るとか矛盾も良いところで本末転倒だ、後者に関しては愚か者と言うか自殺志願者でしかないな、イカダでも海は渡る事はできるだろうが陸まで200キロともなると何日掛かりになるのやら、しかも黒潮を横切るからかなり流されて上陸したら北海道とか笑えないしコンパスが故障でもしたら海の藻屑はほぼ確定だな。他にも航海中の食料とか鮫対策とか、ずっと海水に濡れる危険性とか、問題は山積みで今の問題を無視して力を注ぎ込むとしてもそれらを解決する頃にはおそらく年末だ、意味がないとか徒労とかそんなレベルで片付けられないな。
さてそろそろ夕方だがやはり話ながらとなると作業は進まず魚籠が蓋も含めて完成って所で終わってしまったな、蒸籠の骨組みくらいはと思っていたんだが思い返しつつ考えつつの会話とながら作業は思いのほか時間がワープするらしい。
とりあえず新たな道具も手にして磯に向かい漁を開始だ、魚籠が増えた事で明日以降がかなり楽になると思うが運次第でもある、まぁ成功確率は微妙に増えるだろうし微妙な差を高確率に持っていけるのが高田家がビックリ一族呼ばわりされる由縁だ、少なくともゴミにはならないし、なるにしても流れが変わればまた必須アイテムの仲間入り、今だってそうなんだから何時かはそうなる。
或いは明日から4月まで使う事が無いにしても何かには転用できるしナシのつぶてが続くにしても辛抱強く繰り返せば結果に繋がるかもしれない、努力は必ず実を結ぶなんて言わないが何かの形で結果にはなる、意図せずでも予想外でも、例え嬉しくない物だとしても何かには行き着く筈だ。
本日の成果は鰯とウツボとウニという中々に豪華な物となる、とりあえず鰯を二尾捌いて魚籠に入れて海に沈めておく、さて明日の朝が楽しみだが期待しすぎても空振りの時のダメージが大きいしそこそこで抑えておこう。
拠点に戻り調理開始だ、ウツボを捌いて行くがそこそこ慣れてきたな、この調子だと鰻やウツボ相手でもそろそろ良い仕上がりが期待できると思うのだが流石に一朝一夕で修得できる筈もないし、当初よりはマシなだけって感じなんだろうな。
それでも味に変わりはないし腹に入れば同じだ、まぁ見た目も大事なのは確かだから早めになんとかはしたいのだが。
蒲焼きに塩焼きに焼きウニと焼き三昧だな、今日は珍しく墨巣さんが坊主だがウツボがかなり大きいため問題ない、二人が満腹は無理でも腹八分目は可能だ。




