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気分転換

 昼食を終えて続く作業のために燃え尽きる寸前に火を移した新たな焚き火を使い鍋でお湯を沸かしておいた。

 全裸になりまだ熱の残るお湯にタオルを浸して絞り体を拭く、汗やら脂やら汚れをぬぐい去り、多少はサッパリする、着替えて小川で洗濯を済まし、焚き火で体を暖め、ホッと一息という感じだ、先ほどまでとはかなり気分が違う。


 さて、まだまだ時間は有るし作業を続けるとしよう、まだ燃え盛る炎に柄の折れた金槌を投げ入れ、絡んだロープをほどいていき釣糸を木の棒に巻き直す、釣り針はサバイバルキットの釣具に加え、ロープは太さと長さで大まかに分類しておく。

 木から適当な太さと長さの枝を切り落とし、皮を剥ぎ、ナイフで線を入れてサバイバルキットに入っていたワイヤーソーを使い大体の形に切り出す。


 そうこうするうちに焚き火は燃え尽き、黒ずんだ燃えかすと灰と金槌の先だけが残る、まだ熱は残るため触れれば火傷は必須、しばらく放置するとして作業を続けた。

 出来上がったのは歪な四角柱、ここからさらにナイフで削り出して新たな金槌の柄に変える、今までは拾った釘を打つのは鍋の側面でかなり時間が掛かったが金槌なら時間は短縮できる筈だし、牡蠣を捕るのも楽になる筈だろう。


 そろそろ冷えただろうが念のため木の箸で引っ掛け水を張った鍋に入れておく、一瞬ジュッという音がした事でまだ少し熱が残った事を再認して念のための大切さに震える、素手で行ってたら火傷しただろうな。

 煤で汚れた金槌の先を洗えば錆びの代わりに煤汚れでやや黒ずんだ、所々に煌めきのあるハンマー、拾った鉄製品は大抵錆びてるから毎回やっているが錆びたまま使うよりは安全の筈だ、後はこれに新しい柄を嵌め込めば1年くらいは使えるかもしれない。


 先ほどの木の棒ナイフでさらに削り、何度か試しながら削って削って削り続け、ぴったり嵌め込める形に削りだし、鍋のふちでぶっ叩きながら嵌め込む、正しいやり方なんかしらないから力技だが使えれば良いのだ。


 削り出された木っ端を新しい焚き火用に集め、薪を組んでから今晩の糧を手にするため磯に向かう。

 1日二回の満ち引きを利用した磯猟は時間との勝負となる、引いていく時間、満ちていく時間、朝か夕方かによっても異なる潮位の差も、全てを引っくるめて予測して素早く手早く済まさないと波に飲まれ波に揉まれ、怪我では済まなくなるかもしれないからだ。

だからすぐに安全な陸地に避難できるように奥には行かず、毎回決まった潮溜まりの水を抜き、牡蠣の密集する岩場を巡り、拾えそうなウニやサザエがいないか海の底を確認する。


 一回りして捕れたのは蛸とサザエだけで、本日の最後の猟として竹筒を引き上げるがやはり空だった、もう1日だけ様子を見てダメならポイントを変えてみよう、この実験は無駄にはならずいつかは実る筈だ。

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