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 夕方の漁を向かい魚を捕っていく、そう言えば今さらも今さらだが漁業権とか大丈夫なんだろうな、まぁ文句が出るとしても問題となるのは竹筒や銛による漁で塩溜まりに関しては完全に高田家の土地だし大丈夫と信じよう。

 むしろこの島に近付くは良しとして上陸した場合は不法侵入だし漂着したゴミの一つでも持ち帰れば窃盗だ、まぁこんな海のど真ん中にまで来るのは漁師くらいで、普通に黒潮の上で漁を行うだろうし、わざわざ座礁の危険を解っていて近付かないから煮炊きの煙を見て誰か居ると思っても面倒事に巻き込まれない為に見なかったふりをするだろうな。

仮に磯での作業を見咎めたとして、対応は報告の時点で終了だろう、何かしらの罰則が有るとも思えないが有るとしても祖父の所に行くだろうし、あの狸爺が対策を打っていないなんて事は考えられないし万が一に忘れていたとしてもそれはそれで対応は可能だ。


 鰯にタコと久々にハモか、中々に大変な面々だが美味しく頂くとしようか。

 とりあえず米を炊く為に用意をしつつ全神経を火加減と鍋の様子に集中する、また焦げ混じりなんてゴメンだし過剰なくらいに知識と技術を投入だ。

これなら失敗は少ないし後は現実的な範囲にまで集中度を下げても問題なくってのが理想だが、とにかく今は失敗しないって事が大事だ、一度成功してしまえば後は慣れだし繰り返せば理想には近付くし最終的には片手間にまで落ち着く筈だ。


 燃え盛る炎と土鍋と対話しつつとりあえず米は炊けたと思う、後は蒸らす間に調理を進めよう。

 タコはぶつ切りにして炒め、鰯はくし刺しで焼き、ハモは骨切りをして潮汁に、さて後はご飯の炊け具合で今日の夕食の全てが決まる、頼むから美味しく炊けていてくれよ。

見た目は美しい白、ふっくらと艶やかに炊き上がっているが後は底の部分がどうなっているかだな。


 サックリと杓文字を入れればきつね色が輝いていて、ようやくホッと一息だ、後は食べてみてになるが問題ないという自負がある。

 口に運べばこれ以上は早々ないってくらいの完璧な炊き上がりであれだけの技術と集中力を使った甲斐があるというものだ、後は平時でもこの炊き上がりを目標としたいな。

今回みたいに毎回毎回ずっと目を皿にしてってのは疲れるしな。


 美味しい夕飯に舌鼓を打ちつつ疲労感を押し殺す、とりあえず明日は休みとして魚籠が蓋まで含めて完成かね。

 問題が全く片付かず物事は全く進んでいないようにも感じてしまうが1日1日、確実に終わりは近付いている、シェルターを作ってまで拠点を移した時のように、竈を作った時のように、より良い明日を目指して進むだけだ。

例え休息を挟まないとならないくらいに疲労が凄くで辛くとも何時かはそんな苦労も無くなる、少なくとも何かを作る度に確実に暮らしは楽になっているしこの辛さも全てが終われば報われる筈だ。

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