豪華
さて、とりあえず昨日の続きとして石運びからだな、とりあえず必要量を下に集めるくらいは今日中に済ませておきたい。
ひたすら石を抱えて運んで、規模は全く違うがピラミッドとかってこんな感じだったんだろうな、或いは城の石垣とか、今なら重機とクレーンで一瞬とは言わずとも当時の半分くらいの日数で作れるんだろうが、人力であんなものを作ろうと誰が言い出したのかは知らないが、あれだけの大事業をやると決めた人もまた凄まじいな。
なんと言うか今なら宇宙人建設説を信じそうなくらいには大変だ、しかも俺の行っている作業の規模はかなり下だしな、まぁ数万人規模の大工事と比べるのもおかしな話だが。
何度となく往復して少しずつではあるが石が積み上がっていく、とりあえず後もう二つでクリアだが空腹が顔を出していて力が出そうにもないし先に食事だな。
拠点に戻り穴子と対峙する、とりあえず首の後ろにナイフを入れて動きを止めて手早く捌いていく。
とりあえず鱧の動きをトレースしてみたがヌルヌルしてるからやや難度は上がる、ウナギの時も思ったが経験が全く足りていないな。
鶴子も釣れるんだから持ってきてくれればとも思うが、いやいや面倒だなとも思ってしまう、アイツの場合料理できないのに料理には五月蝿いんだよな、味とか見た目とかドラマに出てくる嫌な姑より厳しい、自分で作ったら兵器にしかならないというのに全くもって理不尽だ。
ただそんな『客の我が儘も対応してこその料理人』とは祖母ではなく鶴子の親父さんの言葉だったか、肱を痛めてもう引退しているし小さな食堂とはいえ数十年、それこそ俺の人生より長く経営していた人物だ、金言と言っていいくらいには含蓄がある。
ついでに言うなら料理の師の一人でもある、とりあえずカレーとカボチャのそぼろ煮に関しては彼流の物を採用している、特にカレーは俺が知る限り最高で作り方が特殊なため、ある程度ランクダウンして落とし込んでいるが。
とりあえず焼き穴子だな、煮穴子にしようにも蒸せないし、タレもかなり陳腐なものしかなりそうにもないしな、蒸籠でも作った方がいいのかね? あれなら作れなくもないぞ。
料理の幅を持たせるために作っておきたいがかなり先にはなるな、とは言え余暇潰しには良さそうだし、なんなら墨巣さんに竹細工を教えつつ暇潰しにするかね、かなり先の話にはなるが心のメモ帳に書き記しておこう。
さて、骨と頭で出汁を取ったタレも塗ったし焼き魚と胆和えもできた、昼飯にしよう。
一言で言うならご馳走と言って良かった味と品格に笑みしか浮かばない。




