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台風

 流石に二度寝という訳にもいかず、かと言ってこれだけの風の音からテントから顔を出せば危険大だ、何かが飛んでくるという以上に既に空けた入り口から入り込む風がテントの中で大荒れで、吹っ飛ばないのが不思議なくらいだ。

 とりあえず入り口を絞めて風を遮るがさて頼むから木とか倒れてくるなよ、そのまます 数時間、依然として大荒れで墨巣さんの様子すら解らないくらいの荒れ模様に辟易としてしまう、当然ながら漁に出られる筈もなくテントの中で大人しくしているしかない。


 雨は降り注ぎ風は荒れ狂い、雷は鳴っていないが代わりに木々がバサバサバキバキ、中々に大型でパワフルなのが近付いているのか遠ざかっているのか、或いは真上に居るらしい、海のど真ん中だから余計に強いのだろう、実家とか一人暮ししていた頃なら上陸して少しばかり衰えてからだからな、まぁそれでも強い事に変わりはないがこれだけ強いのは人生初だ。

 そのままさらに数時間、ただ無の中で静かに座する、雨が降れば必ずの悟りへの道で、毎度毎度至れない自分に歯痒さではなく無念でもなく諦めでもなく、ただ事実を事実として受け入れている。


 お昼ご飯として炙ってすらいない焼き干しを食べ、依然として猛威を振り撒いているらしい台風に諦めの境地で時間を過ごす。

 ひたすら無限とも思えるだけというには短いか、時間の進みは遅いが幸いにして無の中で揺蕩うのはもはや片手間の作業ですらなく苦行にはほど遠い、永劫とか無限とか壮大な事を言うには少々と言わずに足りない。

そのまま夕方まで静かに過ごすが相変わらず雨は降り注ぎ風は荒れ狂いだがかなり衰えた感じはするな、このまま夜中に過ぎ去ってくれるだろう、と言うか丸1日で済んだのは幸いだが脚が遅すぎるな、もう少し早いならこの島程度なら一瞬とは言わないがかなり短時間で抜ける筈なんだ。流石に丸1日居座るとかよほど大型かカタツムリを連想する遅さかの二択でおそらく今回は後者だな。


 夕飯として焼き干しを食べるが残念ながら雨は弱まり風も衰えたが外に出るのは危険だ、少なくとも漁なんて考えるまでもなく愚かの一言だ、とりあえずテントの入り口を開けてみれば風は強いが雨はそこまでって感じだな、若干暗い中に浮かび上がるシルエット的に竈は無事っぽいな、細かな部分はダメだろうが少なくとも崩れる気配はない。

 明日にでも確認は必須として、おそらく煙突部分は一度崩してチェックが必要だな。

面倒でしかないがまぁ一から作るよりは楽だろうし多少は手間だが頑強さを求めるなら性急は愚策となる、まぁとりあえずは明日に備えて寝るとして、被害状況の確認含めて明日はあまり作業は進まないだろう。

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