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一晩中

 体を揺らされて微睡みから意識が一気に覚醒する、もう交代か等と思いつつまだ眠い目を擦り軽く体を伸ばして完全に起きる体勢に入る。

 墨巣さんに代わり炎と対峙しつつ残りの薪からこのままだと夜を越えるのはちょっと厳しいかな等と思考する、とは言え月明りは三日月未満のため薄く、もう少し補充しておくべきだったと今更ながらに後悔しつつ炎に薪を投入して薪の補充へと向かう。

炎の番をしてくれる人は居ないしかなり急ぎで薪を運び込み、数度の往復で少しずつ山を築いていく、入念に掃除はしているが延焼の危険性があるんだ、あまり離れたくはないが火を絶やすわけにもいかない、炎の中の竈は赤々と燃えて火が消えたところですぐさま冷えるなんて事は無いだろうがそれでも絶やせない。


 そのまま二度程薪を補充してひたすら火を絶やす事なく夜を越え、もう少しで丸1日となる、だからと言って特に感慨はなくひたすら眠いというだけだ。

 それでも眠る事なく時間をひたすら過ごして何度目かの時間チェックで早朝と呼ぶにも早い4時半頃になってようやく俺の任された時間が過ぎ去った事実に安堵する。

さて墨巣さんを起こして漁といこうか、とりあえずこのまま夕方まで昨日と合わせて一昼夜と半日の大仕事だ。


 とりあえず俺から漁を済まし鰯をそこそこ手に入れる、若干戻ってきているがまだもうしばらくって感じだな、まぁ全て焼き干しに変わるんだが。

 拠点に戻り墨巣さんと交代し、とりあえず焼き干しの入れ換えを済ましていく、しかし眠いな、昼メシが済んだら2時間程仮眠を取った方が良さそうだな。

戻ってきた墨巣さんにはとりあえず二度寝に入ってもらい薪を補充していく、なんと言うかかなり使ったはずなのにまだ薪は山と積まれている。とは言え数日分は余裕で減り今日でさらに数日、たった2日で10日分は減る事となる、なんと言うかもっと使うと思ったんだがな、まだ冬まで余裕だな、少なくとも秋を越えるくらいは有ると思う。


 燃え残りとはいえ一晩中ともなるとそこそこの山にはなるらしく灰を含めてかなりの量となっているがこれはこれで使えるな、とりあえず今日1日焼き続けてそのあと上からこの燃え残りと灰と土を被せれば多少は熱が冷める速度を緩めてくれるだろう、陶器とかって確か急激に冷ますと割れたりしたはずだし今回はそれらとは似てもいないがやれるだけやってみた方が後悔しない。

 少なくとも割れまくってガックリよりヒビくらいで苦汁の方がマシだし、最大限に手を打っておけば最低ラインを保つくらいは望めるだろう。

相変わらず効率というか、費用対効果ならぬ疲労対効果が低いが残念ながら仕方がないの一言で飲み込むしかない、それでも労力をつぎ込めるだけつぎ込まないと使える物にならないし、例え一般的には最低ラインでも現状の設備と能力で実現可能な範囲で最大の物となる、いろいろと足りているならもう少しばかりクオリティーが高くなるだろうが望んだところでだ、諦めるしかない。

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