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リバウンド

 さて今日は何時もより漁の手順が増える、潮溜まりの海水を掻き出しての魚探し、岩場に張り付いた牡蠣の引き剥がし、その前にロープを手繰ってフロートを岸まで引っ張り、そこからさらに伸びるロープを引っ張って蛸壺代わりの竹筒の引き揚げ作業がある。

ついでに疑似餌でも作って魚も狙うべきだったと今更ながらに後悔しつつロープと格闘する事5分強くらい、引き揚げた竹筒に穴や故障したような部分は無いが蛸や魚も入っていない。

 当然と言えば当然で、例え俺が幸運だとしてもそんなに上手くいく筈もない、蛸壺漁はもう少し数を揃える筈だし、何よりも遠洋のイメージがある、今しばらくは様子見だな。


 竹筒を再度沈めて、すぐさま牡蠣探しや潮溜まりの水抜き作業に入る、落ち込んでいるような時間はない、そんな暇が有るなら少しでも食料確保に奔走すべきだ。

 結局採れたのは牡蠣が数個、昨日との落差に一気にテンションがマイナスに進む、そろそろとは思っていたがやはりリバウンドが来た、俺の幸運なんて長続きしないし必ずしっぺ返しに会う程度でしかない、総合的に見ればプラスではあるが短期的でもマイナスは今の状況だとかなり痛い。

対処の取りようもないしリバウンドが長続きしない事を願うしかないな。


 慎ましやかと言うには非常に問題のある、正答とは言えない夕食を済まし、早々に寝袋に入る、明日には少しでも食えるようになる事を夢見よう、より良い明日は無理でもよりマシな明日を。



 空腹で眠りは浅い、浅いが浅いなりに体を休ませる程度には眠れた筈だ。

さぁ朝の狩りに行こう、もしもまだ採れないならその時はその時だ、どちらにしても今日の作業を最小限に切り替えて、久々に体でも拭いて気分をスッキリさせよう。


 なんとか小魚一匹に牡蠣数個というギリギリの体裁を保ったが、やはりまだ戻りきっていない、魚はいつもより小さいし体の模様からして釣り好きの友人が教えてくれた磯の危険生物その一、ゴンスイだろう、まぁかなり旨いらしいので針にだけ気を付ければ良い、友人によると天ぷらがオススメらしい。

 他に危険生物としてクラゲとガンガゼ、特に注意しろとアカエイについても教えてくれた、わざわざ和歌山まで釣りに行ってエイに刺されて寝込んだ時に家事の手伝いとノートのコピー集めをしてやった礼にと、磯と海の基本を教わった訳だが、当時は釣りに興味もないしマリンスポーツにも興味はない、そんな事より酒でも奢れと立腹した物だが、今に至れば感謝しかないな、少なくとも知識がなければ対策もなしにゴンスイを岩に叩きつけようとして激痛に涙していただろう。


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