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精も根も

 おおよそ5分掛けて旧拠点まで後退したところで地面に座り込み、そのまま大の字だ。

 怖かった、マジで怖かった、これから先刃物もった奴に脅されてもビビらないだろうなってくらいの恐怖体験でマジで失禁していないのが不思議なくらいだ。

時間にすると僅か3分程度の出来事だが3時間にも3日にも感じられるほど時間の進みは遅く、それだけの体力も気力も持っていかれている。


 久々に死んだと思ったな、前は鶴子お手製のカレーを食った時だから5年ぶりか、死の恐怖と対面というなら熊とかでご挨拶したが、現実的に鎌を首に添えられたのは本当に久々となる。

 割りと際限なく神々に祈りを捧げたが誰が助けてくれたのやら、スマイリーの背中を見送る頃には確か思い付く限りのエジプト神だったと思うが日本からの距離的にどうなんだろうか、とは言え日本の神々以外だと仏教系になるんだが。

日本とエジプト、ギリシャと北欧辺りの物ならゲームとかで引く手数多だから多少は知っているんだがな、まぁゲームだと村正が闇属性とかで現物を見た身としてはその乖離に微妙な気分にしかならないから間違いなく神話とはかけ離れた像を描いているんだろうが。


 とりあえず20分はその場に転がり、ようやく起き上がろうという気分になるが体は怠いしいろんな意味で辛いな。

 それでもなんとか立ちあがりゆっくりと拠点を目指す、一気に疲れが来たというか気力で支えていた面もあるから支えが無くなって崩れた感があるな。

ほとんど這うように拠点に戻り、そのままドカリと腰を下ろしてしまう、僅か数百メートルを移動することすら億劫とは情けないのかそれだけ追い込まれているのか、どちらにしても今日はこれ以上何もできそうにない。


 それでも残ったなけなしの気力を振り絞り声を出す。

 「墨巣さん、出てきてくれ」

それだけを発するのも面倒なくらい余裕はないが危険を教えておくくらいはしなければ、それさえ済めば後はもう焼き干しでも食べて眠るとしよう。


 「何? ってどうしたの! かなり老け込んだっていうか憔悴してるわよ!?」

ああ、まぁ外から見たらそうなんだろうな、俺も自分で5歳は年を取った気分だし墨巣さんからみたらなおさらなんだろう。


 「ついさっきスマイリーと会ったんだよ、それも数センチの距離でな、場所は水浴び場所で池の方に消えていった」

必要最低限、事実だけの報告とも言えない吐露に近い何かだが十分だろう、もうこれ以上は流石に無理だ。


 「えっと、それってかなり大事件だと思うのだけれでも、貴方の様子からしてとりあえず怪我は無いのよね?」

 そんな問い掛けに薄く首肯するくらいしかできない、もう気力も根気も尽き果てた、許されるならこのまま眠ってしまいたいが空腹で目が覚めて中途半端な眠りにさらに疲れが増しそうだな。

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