混合
若干以上に疲れもあるが目覚めとしてはそれ以外の部分で最悪だな、ものすごく蒸し暑くまるでサウナの中にいるような感覚に言葉を失う。
テントの入り口の二重チャック、外側の天幕を開いて内側の網素材で通気性は良い筈なんだがそれでも暑い、今日は地獄になりそうだな。まぁ昨日も日中はそこそこ暑かったんだが今日は朝から酷い、おそらくこの島に来てから最大の暑さを軽く更新していくだろう。
思わず朝から池に向かって軽く水浴びをして体の熱を取るがおそらく昼を迎える頃にはまた浴びたくなっているだろうな。
朝の漁を済ませて墨巣さんは土を俺は粘土を集めて拠点に積み上げていく、とりあえず昼まで集めてみるか。
川の底だったり川岸だったりに溜まった粘土を水と共に持ち帰るがかなり重い、それでも少しずつではあるが山と積み上がる様は壮観だな、まぁ一ヶ所につき採れる量が少ないからようやく脛くらいという小山なんだが。
しっかりと粘土と泥に汚れた手を洗ってから昼食を済ませる、今日はクロダイの煮付けに焼いた鰯だ、相変わらず墨巣さんの銛は冴えているというか凄まじい、コツを聞いてみたら勘というからまた凄まじい、なんというか野生の能力を開花させてしまったみたいで彼女のトレーナーとかコーチに申し訳なく思ってしまう。
今後絶対に役に立たないと言うか、少なくとも陸上競技に通じる部分は無いだろう、仮になんとか無理矢理にでも嘯くならスタートの合図を察知とかそんな感じかね、或いは長距離でのコース取りと攻めどころを感覚だが墨巣さんは短距離だしな、どちらにしても魚を突かなくても場数でなんとかなる部類の筈でこんな事をしても経験値としては薄いだろうな。
休憩を十分に取っていよいよ作業開始だ、まずは土と粘土、それに泥を混ぜ合わせて漆喰だかコンクリだか陶器用の粘土だか不明な混合物が出来上がる。
割合としては粘土4に土が4泥を2で行ってみる、全体的にではなく要所要所を塗り固めつつ上に石を積み上げていく、夕方まで掛けて二段目の組み上げを終えて切り上げる、とりあえずはこれで良しとしてまた砂利の流し込みか、材料さえ揃えば1日2日でと思っていたが流石に厳しかったかもしれないな。
夕方の漁を済ませて今日は焼き干しメインにカワハギの肝和えと普通に満足のいく夕食となる。
さて、勢いも有って一気に組み上げ作業をしてしまったが三段目、いや一部は四段か、が終わるまでおおよそ3日、乾燥にさらに1日として4日、頼むから降らないでくれよ。
とりあえず天候の神様に祈りを捧げつつ準備を済ませて眠りに着いた。




