硫黄
特に濁りとかはないし湯の花みたいな物は確認できないが硫黄の匂いはする、いや正確に言うと硫化水素の匂いとか昇が言っていたか、まぁどちらでも良い、今からやるべき事は浸かって大丈夫かとか、安全かとかのチェックでとりあえず祖父曰く山の中腹より下は大丈夫らしいから少なくとも一風呂浴びるくらいなら大丈夫なんだろう。
何より川沿いでかなり拓けていて風通しも良いからかなり薄まる筈だ、流石に丸1日その場に居ればなんらかの危険も有るだろうが30分ほど滞在するくらいなら大丈夫な筈だ。
まぁあまりにも匂いが酷くなるとか、逆に匂いを感じなくなったら危険で例え裸でも避難した方が良いんだろうし1週間くらいは安静にした方が良いのだろうが。
拠点まで持ちかえりとりあえず放置して漁に向かう、実験は夕食後、結果は明日の朝だな。
さてどうなるかは明日の楽しみにするとしてこれでまた一つだな、長期的な計画は何一つ片付いていないがそこに行くための道すじがまた一つ立った、あるいは計画を頓挫しないといけない大問題の洗いだし作業だから、小さな一歩ではないか。
少なくともパッチテストとPHチェックの二つ、これで問題がないなら残るのは開拓くらいで中途半端で良いならすぐに終わる。最短距離を突き進んでも20分程度しか稼げないし要所要所で近道を作るだけでも15分は稼げるしな。
とは言えそれも目の前の問題が片付いてからだ、先んじて夕食の確保といこうかね。
磯でのホース水抜漁を済まし、ゴンスイとハゼを手に入れて拠点に戻る、墨巣さんは久々にボウズらしく銛の先には何もなかった。
さて、今日は米を炊いて焼魚定食といこうか、漬け物も味噌汁もないが煮魚くらいなら調理できるし。
てきぱきと調理を済ませるが米を炊くとどうしても30分程は必要となるな、火加減やらはいい加減慣れたが炊飯に掛かる時間は変わらない、炊いて蒸らしてと進めれば最短でもそのくらいは掛かるし短縮しようものなら焦げるかアルデンテだ、後者ならまだ良いが前者なら目も当てられない。
お焦げは好きだが限度はあるのだ、ほのかにきつね色がベストで真っ黒はゴメンだな。
食事を終えたところでてきぱきと染めの準備をしていく、干された赤い花を煮出して何度も漬け込んで染まった布を投入して最後の色付けとする。
一枚をそのまま干し、二枚目を川の水に浸けてから干し、三枚目は温泉に、後は明日の朝、乾いてから色のチェックだ。
最後に腕の内側に温泉を浸けた布を張り付けて包帯代わりの布で固定し明日の朝までだな。




