汲み出し
捕った魚を焼いては干してお弁当分の焼き干しを確保しつつ日射病等の情報交換も済ませるが、やはりと言うべきか最低限の知識は持ってくれていたし対応策もちゃんと知っている。
流石に倒れるつもりもないし、墨巣さんもまた同じだろうが万が一の時になんとかかなりそうだし、話に出した事で万が一の時にただパニクるだけという残念な結果にはならないはずだ。
布の染めも済んだところで出発する、元は真っ白なおそらく綿の布はけっこう赤く染まり、趣味の範疇として何かを作るには耐えるくらいにはなっている、洗濯したらすぐに色落ちするだろうけど。
池を迂回してひたすら進み、大量に積まれたゴミと対峙する、さて一気に片付けたいところではあるが流石にこの量だと全て片付くのにもう1日2日ってところか、しかも終わったと思っても新たに流れ着くからほぼ無限ループだ。
ひたすらゴミを仕分けしてようやくバケツを発見する、いやバケツ自体は何度か見ているが底の部分が無事だ、後はこれで埋まっている部分が無事なら完璧だな、持ち手は流石に望めないだろうが。
流木やら糸やら布やらを駆逐してバケツを引摺り出せばやや錆びてはいるが目立った穴もない金属製のバケツだ、サイズとしては部屋にあるゴミ箱より大きい、10リットルくらいは余裕ではいりそうな素晴らしいバケツだ、ホームセンターの園芸コーナー辺りで千円も出せば買える量産品だろうが今は万札積んでも手に入らないお宝だ。
昼食を挟んでひたすら片付けていくが終わりは全く見えないな、まだまだ山と積まれたゴミが鎮座している。
休憩を挟んでまたゴミとの格闘をスタートする流木とか糸とか布とかブイとかその他もろもろ、すでに飽和状態というか所有量がかなり増えている物が大半でお目当ての物は全く出てこない、出てきたとしても使用は不可能な廃品ばかりだ。
時たま動かせないくらい大きな冷蔵庫とか、公園の池に在るような手漕ぎボートのような物まで多種多様にも程があると言いたくなるくらいに雑他だな。
雑貨屋でもここまで商品に幅は無いだろう、それこそホームセンタークラスの幅広さで、海外製らしきお菓子の袋やペットボトルから人形、用途の不明な器具等、海の汚れは酷いとしか言いようがないな。
ゴミを駆逐していくがまだまだ山と積まれ、後から後から次々と出てくる、もはや呆れを通り越して凄みを感じるくらいに鎮座している。
それでも残念ながらバケツは顔を見せず見せても使えそうにないものばかり、墨巣さんもまたかなりの量を仕分けしてくれているがナシのつぶてらしく、2日で一つという結果は少し徒労感があるな。
少し早めに切り上げてそのまま温泉水を汲みにいき、川をある程度遡った場所で拾ったバケツだと金属に反応する可能性もあるし、ついでに拾った土鍋に温泉を汲んでおく。




