手札
ひたすら流作業を続けてとりあえず北から東北東にかけてを埋める事はできた、まぁ見掛けたのが北東方向だからと言ってそこから来るとは限らないのだが少しは気休めになるだろう。
明日はこの調子で北側を埋めて更に南東方向を少しってところか、天候に恵まれればこのペースなら明後日の夕方には完成するだろうな。
何度かやった作業だけあって早く進むし二人で分担しながらだからとにかく早い、今日の作業で大まかなロスは減らせたし明日にはさらに作業速度は加速して明後日はさらにと、どんどん早く正確になっていくはずだ、それでも明後日の午後半ばくらいまでは必要だろうが。
作業を切り上げて磯での漁を済ましそこそこの魚を手に拠点に戻る、若干だがリバウンドの気が有るな、かなりスパンが早いが熊に視認されなかったって分を考えると妥当なのかね。
まぁこの感じだと明日の夕方か明後日の朝の漁で戻るだろう、一応は強制的に戻す方法も有るには有るがあまり意味はないし何よりツケが後々に響きかねない。賢い選択とは言えないし見送るのが無難だろう、それこそ取って置きの虎の子にして本当の本当に最悪の場合まで残しておくべき切り札だ。
現状で切れる手札として幾つか使える物がある以上は誤差の範囲として飲み込もう、まぁ切れると言っても労力とか時間とかなんだが、幸いにして一斗缶で目処が立ったから当初より時間に余裕があるしな、まぁもっと早く気付いていれば1週間とは言わないが3日は余裕で捻出できたんだが。
とりあえず予定は組めたし後はお天道様のご機嫌次第だな、幸いにしてそろそろ七月も終わり梅雨は過ぎ去る頃合いでそもそも梅雨を感じさせない天候だったな、梅雨前線から大きく外れた位置と考えるべきなんだろうが南下してたら普通に範囲内だしな、今年は空梅雨か北上傾向ってところかね。
どちらにしても有りがたい話だがこれに関しては流石に俺の幸運ってわけじゃないだろうな、いくらなんても一月近く天候を左右するほど俺の幸運は強くないし、それこそ初代の喜一でも無理だろう、それができるとしたらもはやソイツは人を越えて聖人とか仙人とか現人神とか呼ばれる存在だな。
目覚めと同時に耳を済ませて天気を確認、そんな癖が染み付いてどれくらいになるのかね、人間は3週間もあればその場所に順応し始め3ヶ月もあればほぼ問題なく生活可能というがちょうどではないが3ヶ月、問題はあるものの確かに生活可能ではあるな、それこそ温泉や竈など無くても良いと断じれなくもない。
まぁ見付けた以上は、気付いた以上は改善しないと停滞してじり貧になるだけだ、確かに現状で満足しようと思えば可能ではあるが、さらに暮らしが楽になりより充実した毎日を送る事ができるならそれに勝るものはないだろう。




