微妙な差
落としどころとしては限界だろうな、取れる手段としても予想通りで、可能性の範囲内に綺麗に収まっている。
流石にこれ以上は望めないし、それでも方法は考えくれるらしいから期待薄でもと考えはする、という程度の誤魔化しだが心の拠り所くらいにはなるだろう。
とりあえず先んじては全ての作業を中止しての警戒網増設だな、こんな事なら張り替えではなく増設をするべきだったが拠点を拡げる可能性が有ったんだから無理か、現状だと拡げる必要が全くと言っていいほどないから余計に思ってしまう。
この誤差と判断は、まぁ一斗缶に気付いたタイミングだな、それに考え方としてより外側に増設する事で安全性はより上がる、少なくとも前のものと今のものの二重よりは時間に余裕が生まれるから上手くすれば火起こしは無理でもその準備段階くらいまでなら持っていけるだろう。
少なくとも鳴子がなった時点で逃げるという選択肢は潰れるしどこに逃げればという問題もある現状で、防衛手段を整える事ができるのはかなり大きい。
残念ながらそれでも足りないが少なくともという最低ライン、まぁその最低ラインが最大なのがここの様式美なんだが。
「まぁそれが限界だろうな、後は細々したものが幾つかあるけど温泉見付けたとかだから事項としては薄いし、後は墨巣さんの状況が聞きたいって感じだな」
本来ならかなりの重要事項なんだが墨巣さんの方が重要度としては高い、温泉程度では覆らないな。
それこそ熊みたいな命に直結してしまうようなイレギュラーがなければ優先度は墨巣さんの問題が勝る、せいぜい井戸端会議というか世間話的くらいに現状報告は薄いし脆い、まぁ話の取っ掛かりと言うか落語でいう枕代わりにしかならないな。
「ふむ、温泉というのはソレなりに重要だとは思うが確かに切迫はしないか、とりあえず開拓か利用の報告まで流すとしよう、どうせ安全性のチェックとかするつもりなんだろうし、儂から答えを言うつもりもないが、とりあえず命に関わることとして、山の中腹より下ならガスの心配はないとだけ教えておこう」
物凄くありがたいヒントというか答えだな、これで一進一退の開拓ではなく一気に進める事ができる、まぁその前にやること山積みなんだが。
「とりあえず予想通りと言うべきだろうが現在かなりの抵抗を見せている、こちらとしてもソレらを潰しつつ退路を絶って幾つか布石を打っている最中だな。細工と根回しが済み次第、本格的に攻勢に出るが一月は先だろう、その後を考えても今年中には綺麗に終わらないと言うのが儂の見立てだ、決着だけならクリスマスまでになんとかはなると思うがの」
事件の大きさを考えると妥当なのかね、とりあえず動きは大きくないらしいがそれもすぐに変わるのだろう、少なくとも祖父が言うところの細工と根回しが済めばそこからは苛烈なまでに動きは加速するだろう。




