建築
気だるい体を鼓舞して磯に向かう、途中に小さな磯もあったが流石に竹を抱えた状態では狩りもできないためスルーした、あれは竹林側に拠点を作った時の仮の狩場だな。
蛸と牡蠣とウニを確保して拠点に戻る、ウニは平均してハズレが多い、見た目からしてムラサキウニの仲間なのだろうが最盛期は何時になるのだろうか? やはり時期ハズレだと小さく味も薄い感じがする、牡蠣も牡蠣で旬ではないらしい、岩牡蠣の旬なんて俺は知らないが早く最盛期が来てほしい。
本日は焼きウニと焼き牡蠣と蛸の煮物だ、やはり米を持ってきた方が良かった気もするが管理できないし、炊くのにも時間が掛かり薪を余分に消費する、欲しいのに使い勝手が悪いため除外したがやはり日本人として米は外せない。
外せないが手に入らない、これはかなりのストレスだな、考えないようにしても無駄な足掻きになる分かなり質が悪い、代替品すらなく何かの奇跡で自生していても時期ではなく、これから1年は相手にする強大な敵であろう。
食事を終え、即座に動く、決めた夜営地の予定地に竹を運ぶが絶望的に足りてない、地面に寝そべるなら足りるが、流石に地面で眠る趣味はない、最低でも一段高い寝床が欲しい。
少なくとも屋根はいるし、その少なくともにも足りない、柱に梁、屋根材、床材となれば竹だけでは話にならない、運ぶだけで大仕事だし何より竹に拘っても意味がない。
なら、有るものを最大限に利用してやれば良い、そのために木の配置から場所を選びだした、これで柱は最低限に減る、本来なら四隅と入口面を除いた中間に一本ずつ、計七本、これを三本にまで減らせる位置に木が生えている場所を見付けておいた、建物自体の角度やなんかは気にしなくて良いからこその荒業だ、ここなら区画整備とかないからな。
半分に切った竹を木の枝の分かれる部分から部分へと渡し、拾ったロープで結ぶ、高さがかなりガタガタで歪んでいるが、そこまで綺麗に作る気もないし十分だ。
問題はこの作業だけで竹を一本使いきったという事実だろう、次の作業として竹を木と木の間に掘った穴に突き立ててすぐさま埋めて柱にし渡した梁と結んでしまう、最後の半分の竹を高さ20センチくらいの位置に結んで床の梁とする。
余った端材を割って炙り、編み上げていく、全然足りないが少しでも罠の作業も進めないと後に響きそうで怖い、何より捨てるのも勿体ない気がしてならない、あれだけ苦労して運んで端材は捨てるのは忍びないというか虚しい気がする。
それに使える物は有効利用しないと何時まで経っても終わる物が終わらない、貧乏性とかでは断じてない筈だ。




