気合を一つ
とりあえず荷物を下ろして集めた花を篭に入れて干しておく、かなり精神的な疲れも有るし一休みしてから連絡・・・・・・いや、確実に親父の助力を願うなら夜の方が無難だな、このくらいの時間だとお袋すら買い物で居ない可能性がある、流石に祖父が話を聞いて何もしないという事は無いだろうが保険は何重にも重ねておきたい。
特に今回みたいな状況だと重ねすぎても損はない、重ねて重ねて分厚くしても安全を担保できるかは不明だが少しでもそちらに傾くなら重ねられるだけ重ねてやる。
ようやく落ち着いたところで、さて今後に向けての協議だな、正確には食後に向けてだが、おそらくすぐにでも連絡していない事を不信に思っているだろうし。
「とりあえず夕食後に連絡するとして、定期報告も済ませてしまうから聞いておきたい事とか考えておいて」
墨巣さんの状況が解決しているとも思えないが少なくとも進展はしている筈で、その程度を知りたいとは思うだろう、ここじゃニュースと言うか天気予報すら見れないしな。
何時もより慎重に磯に向かい漁を済ませて慎重に拠点に戻る、蜂蜜におそらく蜂の子も食べただろうから数日は餌に困らないだろうし木の実もチラホラと有るから大丈夫だろうが今後はかなり慎重にならざるをえないか。
慎重になった所で出会う時は出会うだろうが少なくともパーセンテージとしては下がる筈だ。
風向きに気を配りつつ魚を焼いて腹に納めるが、残念ながらと言うべきかこの数カ月で谷の向こうに向けて風が吹いていた数は数えきれないだろうし、間違いなく手遅れだろうな、少なくとも方角くらいは気付かれているだろう、それが何なのかまでは感知していないと信じたいし、今日まで姿を見てないって事は興味がなかったからとみたい。
そうでなければ仮に島の逆端に居たとしても1週間と待たずに姿を見せているか痕跡を残す筈だ。
道なき山道とはいえ彼あるいは彼女のフィールドなんだ、1日で数十キロは進めるし山にしてもそこまでの標高はない、仮に頂上を踏破してからでも1週間は掛からない、少なくとも昇みたいな専門家なら余裕で可能だし熊なら余裕過ぎてアクビが出るだろう。
なんなら道すがら狩りを行うくらいには余裕だろうな、相手が鹿と狸と鳥だから成果は少ないだろうが。
食事も終えた事だし、さぁ熊と同等くらいには面倒なあの狸爺との交渉だ、最低でもなんらかの手段を引き出す必要がある、それも可能な限り早く施行可能な物をだ。
現状での想定だと最も早くても次の支給品と一緒にというのが限界だ、流石に一月半も先となれば此方としてもいろんな事を犠牲にして対策を取る必要が出てきてしまう、まぁ時間的には数日だから余裕で可能なんだがその分だけ他の作業が遅れるしな。




