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撤退

 そこそこ距離はあるが木との対比的にそれほど大きくはなく、動いた時に胸元だけ色が違ったからツキノワグマだろうな、本州にも四国にもけっこう生息しているし、一番近いであろう和歌山にも、海流に乗ったとして九州にも生息していた筈で、その瞬発力もスタミナも人間とは比べようもなく泳ぎも堪能と聞くから何かの拍子で海を渡っていても不思議ではない。

 少なくとも鹿や狸よりは可能性がある、ただそんな可能性無くて良いんだがな。


 さて、とりあえず彼或いは彼女は蜂蜜に夢中っぽいしこの場を離れるとしよう、幸いにしてツキノワグマなら対処法も知ってはいる。

 ヒグマに比べれば臆病だし無人島なら人馴れもそこまでしていないと信じよう、そうでないなら絶望的だ、日本に住む熊の中では小さいと言うかヒグマとツキノワグマしかいないが、小さい方とはいえ熊は熊だ。

爪はナイフのようで牙は鋭い、走れば墨巣さんでも逃げ切れない程早くスタミナは言うまでもない。


 さて逃げるか、幸いにして視覚には行っていないし風下だから匂いも大丈夫だろう。

 それでも目線を離さずゆるりと後退していく。


 「えっと、どうしたの?」

全く緊張感を感じられない口調と声からして気付いていないんだろうな、気付いてたらここまで呑気にしていられないだろう。


 「うん、ゆっくり戻ろうか、今俺、木の上の熊さんから目を離せないから」

 一瞬何言ってるんだコイツみたいな目をした後、状況を理解したらしく静かに動いて何気なく俺の後方に移動して先導してくれる。


 少しずつ視界が木々で塞がれて、そこからは一気に森の中だ、とりあえず大丈夫だろうが風向きが変わる前に出きるだけ離れたいな。

 クルリと180度反転して墨巣さんの普通に歩く、ずっと後ろ歩きは地味に疲れるな。


 「えっと、説明をお願いできるかしら?」

 そんな一言でそういえばしてなかったなとか今更ながらに思ってしまう、まぁできるような状況ではなかったのだがそこは脱した。

とりあえず移動を優先しながら説明といこう。


 「とりあえず進んでた方向が軽く谷になってたのは知ってると思うけど対岸って言うのかな? とにかく向こう側の木にツキノワグマが居た、幸い蜂蜜に夢中でこっちは見てなかったしずっと風下に居たから匂いでも感知してないと思う、ただ気紛れで居たのか餌を取りに来ていたのかそれとも縄張りの中なのかまでは判別できないから安全かどうかは解らない」

 「とりあえず祖父に連絡して様子見にはなると思うけど、スマイリーの事を考えるとスルーって感じだろうな、俺が怪我するか死ぬまで動いてくれないくらいには苛烈だから、まぁ親父が対策を打ってはくれるだろうからそれ待ちだな」

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