懐かしさ
手早く着替えも済ましてとりあえず洗濯だな、今日は天候も良いし夏の日差しだ、今から洗って干せば夕方には乾くだろう。
鍋や服を片手に川に向かい手早く洗濯等を済ませていく、流石に毎日着替えて洗濯って訳にもいかないしかなり汚れも溜まっているな、まぁ下着くらいは毎日替えているがズボンとはな。
ふと足元を見れば靴もかなり汚れが目立つし底を見てみれば泥で詰まっているという以上にかなり減っているな、幸いにして穴なんかは大丈夫そうか。流石は昇がオススメしてくれた軍用ブーツのレプリカ、かなりタフだな。
普段使いから登山までと幅広い場面で活躍するとは昇の言だが実際かなり良いんだよな。
一万円と少しとそこそこ値は張るが普段使いなら2年使っても平気だし長距離を歩いてもかなり楽だ、ブーツでタフって売り込みの割りに軽いしかなり可動域も広い。
流石に本格登山には向かないらしいが昇基準でピクニックとかならコイツで登るらしい、まぁ奴基準だと1500メートルまでがピクニックで、難易度中級まではお遊びらしいが。間違いなく親父さんの影響なんだよな、あの人全体陸最高峰踏破してるし日本の山の八割は登ったらしいし、ただ親父さんのオススメは普通に登山靴なんだがな、やはり彼クラスともなるとスポンサーとか色々としがらみも有るのだろう。
なんか懐かしいな、底抜けに明るいあの登山馬鹿の声と顔を思い出してしまう、ついでに親父さんとお爺さんの顔もだな、後お袋さんもか、俺の通学用のスクーターはお袋さんから格安で譲ってもらったんだよな、昇も昇で親父さんからスポーツタイプを・・・・・・いや速攻で売り払ってオフロードに乗り換えてたか、その事で親父さんからコブラツイスト食らってたな、奴に叙情的というか感傷とかないんだろうか。
なんと言うかあのアホ達と久々に呑みたい気分だが残念ながら無理なんだよな、昇に鶴子に望、性別も学部もバラバラで、それぞれに突出した変人、俺の数多い友人の中で親友と断言できる馬鹿共、もうすぐ定期報告だし親父に伝言を頼むかね、かなり心配をさせてそうだし。
戻ったら怒られそうだな、特に鶴子辺りは五月蝿いだろう、あのとさか頭でよく釣りができると感心しきりなんだが、今回は怒られる立場だ、そう考えると呑みたくないな、飲み会というより俺の吊し上げ会になるだろうし進んで処刑台に上がりたくもない、まぁ間違いなく戻るとほぼ同時に上がるんだろうが。今から憂鬱だがコレも俺が選んだ事で謂わば自業自得だ、甘んじて受け入れるしかないだろう。
洗濯が済んだところで拠点に戻り、途中で墨巣さんとすれ違いつつ特に挨拶を交わすこともない。
流石に洗濯物を持った女性に掛ける言葉に詳しくないし、見ない事にしてスルーが正答の筈だ。




