下手と馬鹿
適当なサイズの物を集めておく、流石に何度も探し回るのも面倒だ、最低限の必要量くらいは纏めておきたい。
適当なサイズの石を拾っては適当な場所に積んでいく、とりあえず必要量は集まりそうだな、この辺りはかなり石が転がっているし。
とりあえず一山はできたか、足りないどころか過剰在庫で、しかも探すまでもなくまだまだ転がっている、代わりに歩き辛いがそこはまぁ仕方がないか。
これでとりあえずは良しだな、これから運び込む必要が有ったりもするが時間の短縮には繋がっているし仮に積んだ石が流されたとしてもまだまだ転がっているしな。
時間的に余裕もないし早く戻って漁に向かわないとだな、砂浜を越えて砂利道も越えて岩だらけの磯まで急ぎ足で30分足らず、やや遅めだがなんとか間に合ったか。
テキパキとホースをセットして水を抜いていく、やや遅れはしたが余裕を持って漁はできそうだ。
今日はハゼっぽい魚が大漁だな、名前も解らないが食べる事に支障はない、万が一毒を持っていたらとは考えるだけ無駄だろう、最低限は鶴子から聞いてはいるが知らない間にというのはどうしても起こるしな。
残念ながら知識も無い現状では完全な除去は不可能で、幸運に頼るにしても避けるのはほぼ不可能だろう。
おそらく軽度の物なら今日までに何度かは文字どおり食らっている筈で、死んでないってだけマシなんだろうな。
何より初代喜一の死因は流行病と記されているし、それを何をどうやっても避ける事ができず、なんとか子供や孫を守るのが精一杯って辺りが我が家の限界なんだろうな。
それから既に数十代、天運持ちですらない俺では防ぎ切るのは不可能で、最大限の努力で腹を下す程度に収められれば上々だろう。
まぁ見るからに怪しい奴とかは避けているし食えると解っている物を優先してるから可能性としてはかなり低くは有るのだが心配をしてしまうのが人間の悲しい性なのかね、或いは単純に心配性なだけか。
まぁ石橋を転ばぬ先の杖で叩いて渡れが今の鉄則なんだ、心配性なくらいで丁度良い、少なくとも蛮勇よりは随分とマシで無計画よりは上等だ。
少なくとも馬鹿な事をして怪我をしたりはしていないしするつもりもない、明らかに変なものを食べて地獄を見るつもりもない、下手を打つ事は有っても馬鹿をする事だけはないように動いている。
そうでなければ3ヶ月も無傷で生きて無いだろう、残る9ヶ月もそうありたいしそうしていくつもりもある。




