通路
相変わらず降り続いているがもうポツポツとした雨に変わり、そろそろ止みそうだな、何より雲に切れ間ができだしていて晴れそうだな、この調子だとおおよそ1時間くらいかね。
ひたすら待つ、この時間というのは恐ろしく長く感じるがもう慣れた、このまま無の中で揺蕩えば時間なんて瞬く間だ。
ようやく雨雲が過ぎ去って、だが残念な事に真っ暗だな、夕飯も済ましてさらに三時間近く降り続けて結局ほぼ丸1日降り続けた事になる。
これでは様子を見に行ったところで闇に消えるだけだな、残念ながら何もできないしこのまま眠るとしよう。
とりあえず音からして降ってはいないようだが大丈夫かね、テントから外の様子を見てみれば全く雨の気配はなく安心する、せいぜい地面が泥でぬかるんでいるくらいだな。
右腕も軽く動かしても痛みはほぼない、とは言え万全ではないし念を入れて休めようか。
とりあえず朝の漁を済ますのは確定として、大事なのはその後だな。
何時ものようにホースをセットしてからの水抜きで魚を捕っていく、今日はハゼっぽい奴が大量だな、墨巣さんの方は空振りだがそれでも八割くらいは捕れているという驚異の数字を持っている。
5日に一回しか坊主がないって凄いなんてものじゃない、使ってる道具は相変わらずの竹銛で自らの腕力とセンスのみで魚を突いている事を考えるともはやプロと呼んでいいだろうな、呼ばれたところで嬉しくはないだろうが。
まぁ俺の水抜きスキルと同様にここを離れれば使う事もなくなる程度の物で、間違いなく自慢にはならないな。
拠点に戻って装備を入れ換えてから干場を目指す、あれだけ補強を入念にしたんだ、おかしな結果にはなっていないと思うがさてどうなってるかな。
とりあえず地面が抉れていたりはしないな、屋根の先に竹を敷いた労力が報われたと言える、側溝の方も多少は水が残っているが無視できるレベルだし、夕方には弱まったとは言えあれだけの雨が降り続いたのに薪の方も軽く湿っている程度だ。
そのまま排水路を辿って川まで出るが全く問題はないな、流石に台風ともなると事情は変わるだろうが少なくともどしゃ降りくらいには対応できるらしい。
とりあえず一安心したところでもう一仕事だな、森を抜けて通路予定地まで歩き、そのまま下草や枝との格闘を開始する、とりあえず一目見ただけで通路入り口ってくらいには開拓したいな、現状だと記憶を頼りに観察してようやくって感じだし。
ひたすら手斧を振り、いい感じに人が通れるだけのスペースを確保していくがほんの数メートル足らずだ、幸いにして入り口付近を越えれば後は下草の方が多いって感じだがそれでも完全に整備しようとしたら2日は掛かるな、左腕だけならさらに倍ってところか。




