石運び
拠点に戻って腹を満たした頃には右腕も小康状態、とりあえず落ち着いてはいるが間違いなく明日には響くな。
一応昼食ついでに温めもしているが何処まで効果が出るのかは不明だ、ただどちらにしても今日1日は使えないだろう。
さて午後からは何をするかね、とりあえず通路の開拓か橋の材料の搬入か、まぁ無難に通路の開拓から済ました方が楽か、とは言え無理をしようものなら明日は左腕も筋肉痛って落ちにしかならないな。
流石に左腕で枝を払うのは馴れないしかなりダメージにもなるだろう、少し進めて後は墨巣さんと共に石拾い辺りでお茶を濁そうか。
とりあえずほんの数メートルと言うか、一メートルも進まずに作業終了となる、下草を刈り枝を一抱え分、それを目処に作業をしていた訳だが入り口と言うかスタート地点が鬱蒼としているためほんの少し進んだだけでけっこうな量の薪を確保できてしまう。
一先ず干場に持ち込んでテキトウにサイズ分けして積んでおく、ついでにテント内のストック分を持ち帰るかね。
俺のテントもようやく片付いてきて、そこそこのスペースができている、まぁ元々布や糸が大半だから片付けるのも簡単だったというだけなのだが。
布は毎日使う焚き付けやらに消え、糸は建築に、ロープは警戒網の増設で消費した、それでもまだまだ量はあるのだが一時の過剰状態から比べれば三分の一くらいは減っている。
そのスペースを薪が鎮座するようにはなっているが今までと違って薪は拠点にないからな、最低限数日は使える分は確保しておかないといけない、だからと言って外に置いて雨に濡れよう物なら目も当てられない。
まぁ元の状態から比べればかなり便利にはなったし、何より雨の心配が極端に薄くなった、それを考えれば寝床のスペースくらいは安いし元々が狭かったんだ余り変わらないだろう。
それにこれ以上は増えないが少なくとも布は日々減るしロープにしても解けば焚き付けに使えるから地道に使えそうに無いやつを解いていってるんだよな。
さらに建築ラッシュで減少速度は加速するし、拾いに行くとしても限度を決めて行うわけだからむしろスペースは一定をキープ可能か。
とまれ、今は作業を進めるとしようか、磯を目指して森を抜け途中で墨巣さんとすれ違う。
「とりあえず俺も石を運ぶから、ちょっとばかしダメージが大きすぎる」
言い訳をしつつの説明を告げてそのまま進み磯近くで石探しだ。
手頃なサイズで良さそうな物を選び出し左腕だけでなんとか抱えあげる、サイズ的には猫くらいなんだが流石に重さは十キロを越えていて、いい感じの漬け物石になりそうだな、形状はやや刺々しいと言うか幾何学的な形状だが。
冷え固まった溶岩かそれとも火山で吹き飛ばされた噴石か、どうせなら軽石みたいな材質の方が有りがたいんだがな。
確か軽石は火山特有の鉱石だった筈だし、まぁ昇がテキトウな嘘を言ってなかったらだが、一応は地質学科の生徒な訳だしテキトウは言わないか、まぁもちろん例外は有るだろうがこの辺りにも軽石っぽいというか奇妙に穴だらけの岩とか有るし間違いではないんだろう。




